令和5年新年のご挨拶【公益財団法人医療機器センター理事長/一般財団法人ふくしま医療機器産業推進機構理事長・菊地 眞】
新年明けましておめでとうございます。新たな年を迎えられましたことを心よりお慶び申し上げます。
新型コロナ感染症はほぼ3年が経過した今日でも新たな変異ウイルス株が出現して予断を許さない状況が続いております。このような状況から本年もさらに〝Withコロナ時代の新たな社会・生活様式への変容〟が社会全般に浸透する年になりましょう。
加えて昨年2月に勃発したロシアのウクライナ侵攻は世界を震撼させ、先の世界大戦以降で最も緊迫した世界情勢になりつつあり、今後は「全く新しい価値観に基づく社会・経済情勢の時代」に突入することが予想されます。
医療機器の研究・開発並びに市場化においてもここ数年間で明らかな変容が顕在化しており、コロナ後の本格的な社会経済活動再開に向けて医療機器産業界においても「新たな時代へ対応準備」を強く予感させる新年となりました。
急速かつ著しい技術革新により社会及び個人の生活様式に様々な変化と革新がもたらされていますが、その中でもDXと総称される〝Digital Transformation〟は極めて大きなインパクトを生じさせており、インターネットなどのICT技術がビジネスにも大きな変革をもたらし社会・経済活動を一変させました。
同様に医療全般にも著しい変化をもたらしており、特に新型コロナパンデミックが人と人との直接的接触機会を大幅に減少させたことに伴い、デジタル技術が真価を発揮する非接触・遠隔的な情報通信機能が医療におけるDX化をさらに加速させています。このような医療全般に亘るDX化の流れに伴い、医療機器においてもその影響を色濃く受けた変容が始まっています。
さらには、地球規模で今後益々重要性が増すヘルスケア関連事業も注目されつつあり、まさに「グローバルヘルス戦略」に関して産官学臨が手を携えて総合的で効果的な研究開発と社会実装環境を創出する必要性に迫られており、医療機器産業全般にわたって新展開が期待される年となりましょう。
公益財団法人医療機器センターでは、令和3年4月からの第二期中期経営計画に基づく事業運営が着実に進められています。第二期中計は、令和3年度から令和7年度の5年間の計画で、これから先10年程度の予想されうる社会経済の環境変化(人口減少社会、ポストコロナ社会、パンデミック・大震災の再来の前提、医療・ヘルスケアの位置づけ・役割の再定義等)や財団の35周年に実施した「当財団への産官学臨のステークホルダーからの期待事項の可視化調査」を踏まえて策定されたものです。
具体的には、第一期中期経営計画の5つの柱(①信頼される中立的機関、②事業化の支援、③シンクタンク機能の強化、④教育・人材育成、⑤情報提供・パブリシティ活動)を継承しながら、②事業化支援の中では、特に「認証事業の強化」を行うとともに、新たな活動として「人財」および「情報」のハブ機能の明確化・強化を行っています。
また顧客の利便性向上に努めると同時に、デジタル化時代への対応のためにデジタル化推進室(DX推進室)を新設し、〝明日の医療機器を育てていく〟取り組みを加速すべく、ステークホルダー(産学官臨)に変革をもたらす仕組みも見据えた活動も行っています。その一環として、当財団の役割をより一層わかりやすく表現する意味やアクセシビリティの向上も含めて昨年は当財団のウェブサイトの全面的見直しも行いました。
ここでは特に、最新動向を所掌する「医療機器産業研究所の取り組み」と「ハブ機能の強化」を紹介するとともに、従来からの各種事業の中でも特に注力している「認証事業の強化」に関して昨年から本年に向けた取り組みについてご紹介します。
「医療機器産業研究所の取り組み」としては、令和2年に10周年を迎え、令和3年からはより活動方針を明確化するため、これまでの調査研究と提言を表現していた『Research & Discussion』に止まることなく、課題解消の実現に向けた活動まで含めることを表現するため『Research & Discussion & Action!』を掲げる宣言を行いました。
医療機器産業を取り巻く環境及び中長期的な課題について恒常的に分析検討し、提言を行うことは勿論ですが、皆さまとともにその課題の解消に向けた活動まで実施することの重要性を改めて実感しており、令和4年は、医療機器プログラム(SaMD:Software as a Medical Device)の薬事規制、保険償還のあり方、またAIの登場で期待されるデータ利活用のあり方まで集中的に議論してきました。
中でもデータ利活用のあり方においては、個人情報保護法に主眼をおきつつ、個人情報保護法と生命・医学系指針の関係、また個人情報保護法と医薬品医療機器等法の関係に着目し、現行制度下において可能な方策と今後解消すべき事項の提言を厚生労働省などの行政に行うなど、AI医療機器の社会実装に向けたより現実的な方策検討を行いました。
この活動は、従来の産業界、医工学の学会、厚生労働省との議論に止まること無く、ベンチャー企業、ゲノム研究者、倫理系社会学者、弁護士、患者支援団体、個人情報保護委員会事務局まで広くステークホルダーが参画し、データ利活用を現実的に進めて行くための検討を行っており、令和5年度末までに、保健医療分野におけるデジタルデータのAI研究開発等への利活用に向けて、研究者等が活用できるガイドライン案などを作成する予定です。
また令和5年度からは、後述します新設の『医療機器開発に意欲のある若手研究者を支援するための研究開発助成事業(仮称)』と同期する形で、平成27年から既に実施しております調査研究助成『公募型リサーチペーパー』をさらに拡充することも予定しています。
公募型リサーチペーパーは、大学・研究機関の研究者からも社会科学系研究の手法による医療機器産業を活性化させるための提言及び社会科学系研究者の育成を通じた裾野の拡大を意図したものですが、少子高齢(化の時期は既に経過しており正式用語では化を省くべき)社会、パンデミック・ディザスター、DX推進、スタートアップへの期待など医療機器を取り巻く環境が以前に増してより複雑になってきましたので、環境変化へ速やかに対応すべく、リサーチペーパーの質・量をより加速させます。
以上の『医療機器開発に意欲のある若手研究者を支援するための研究開発助成事業(仮称)』は自然科学系研究者の支援であり、他方、調査研究助成『公募型リサーチペーパー』は社会科学系研究者の支援であります。医療技術・機器を真に社会全般に浸透させるためには、医療機器にまつわる自然科学系課題と併せて社会科学系課題の両者のリテラシーを有する人財育成が急務であるとの考えに基づき、両者を当財団が一気通貫的に支援していくことが肝要と考え令和5年から開始する予定です。
医療機器産業研究所ではこのような新しい領域について、いち早く動向調査等を実施しながら、医療機器産業の発展に努めてまいります。
「ハブ機能の強化」としては、当財団は従来から公益財団法人として、産業界(産)、大学・学会関係者(学)、行政(官)及び臨床の現場で日夜奮闘されている医療関係者(臨)を加えた産学官臨のパイプ役として、今日の国際化時代に対応できる医療機器の環境を整備し、産業の育成と支援並びに国民保健の向上に寄与すべく、信頼できる中立的な機関として、研究開発、市販前規制、市販後安全・適正使用などの医療機器のライフサイクルに適した各事業を進めてきたところです。
これまでにも医療機器各団体や学会と連携しながら、各事業の推進を行って来ましたが、最近は公益社団法人日本医師会、四病院団体協議会、公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人日本臨床工学技士会などとも具体的な連携に基づくサイバーセキュリティ対策などの社会的課題の調査や提言、薬局における医療機器の取扱い等に関するテキスト作成などを行ってきているなど、中立的立場であるという特徴を踏まえた「情報のハブ機能」と「人財のハブ機能」としての機能強化と外部組織との連携強化を行っています。
昨年度は厚生労働科学研究により医療機器の保守点検の実施効率を高める方策の検討や医療機関へのアンケート調査を実施したほか、医療従事者向けに医療機器の安全管理の基本的考え方をわかりやすく解説した『医機メンなび(https : // iki-main. com /)』の開設、医療機器安全管理を普及させるためのポスターの制作と全国の医療機関への配布など、保守点検の実施効率を高めるための具体的アクションに繋がる活動も行いました。
さらに平成30年6月から開始しました就活生向け医療機器産業魅力発信ウェブサイト『医機なび(https ://www.iryokiki-navi.com/)』の取り組みの一環として、令和2年に業界初となる就活生を対象としたWEB合同企業研究セミナーを開催しましたが、令和4年は7月には27社が参加した『ヘルスケア・医療機器シューカツスタートダッシュ!WEBセミナー2022』、11月には14社が参加した『ヘルスケア・医療機器業界シューカツレベルアップ!WEBセミナー2022』を開催し、両イベントとも就活生1000名以上が参加し、いずれもイベント終了後のアンケートでは参加者の約95%が本イベントに満足するなど、質の高いイベントとして評価を頂きました。「医機なび」の取り組みが機会となって医療機器企業へ就職する事例も年々増えてきており、「医機なび」は着実な成長をしてきました。
「医機なび」では文系、理系、医療系を問わず、就活生に医療機器・ヘルスケア産業を知ってもらう、そして興味をもってもらうための活動を行って来ましたが、その過程の中で先ずは全国の大学のキャリアセンターの方々に医療機器・ヘルスケア産業の魅力を理解して頂くことが必須であると考え、キャリアセンターとの交流活動も行ってきました。中立的立場であるからこそ出来る「人財」および「情報」のハブ機能としての役割がここにもあることを改めて実感しています。
さらなる「人財」育成のハブ機能としては、医療機器産業研究所で述べましたが令和5年度から新たに『医療機器開発に意欲のある若手研究者を支援するための研究開発助成事業(仮称)』を行うことを予定しています。これからの社会的課題の解決に資する医療機器の研究開発に意欲のある若手研究者を支援するため、100~500万円程度の研究費の助成を行うもので、医療機器基本計画における重点分野に対応しながら、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)や民間助成財団、各種学会等との連携も視野に入れ、単なる研究費の配布に止まらず採択された若手研究者に対しては実用化に対するアドバイスなどの支援も行う予定です。既に令和4年6月に行われた当財団の理事会では事業構想の了承を得ておりますので、現在その詳細を検討しています。今後も様々なステークホルダーとの連携による具体的「ハブ機能の強化」を行っていきます。
「認証事業の強化」としては、令和2年9月に続き、令和3年4月にも製品審査員を1名増員したほか、新たに数名のQMS審査員の採用を行いましたが、引き続き審査員の充実と研修に努めて参ります。令和4年4月からはDⅩ人材を追加し、審査プロセスのIT化により審査時間のさらなる短縮に努めています。
当財団が医薬品医療機器等法に基づく登録認証機関となったのは平成17年7月で、令和元年7月は15年目という節目となり、ちょうど第一期中計の後半となったことから第二期中計も踏まえ、体制強化としてのこのような審査員の充実を段階的に行ってきており、本年においても、以下の事業を確実に実施してまいります。
「より丁寧な認証業務の実施」に向けて、①新規参入企業や中小企業にもやさしい料金設定(認証維持料金が無いのも特徴です。)、②HPを通じて認証申請に関する無料見積もりの申し込みが可能(早ければ、即日。遅くても3営業日以内に回答できるように努めています。)、③認証申請に関する無料説明会を常時開催(オンデマンドでいつでも視聴可能。月に1回のライブセッションでご質問にお答えいたします。HPを通じてお申し込みください。)、④HPを通じて認証申請に関する無料面談の申し込みが可能(対面形式の面談か、WEB形式の面談かをお客様がお選びいただけます。)、⑤事務処理期間の達成率はほぼ100%(認証申請受理後、直ちに審査に着手。QMSの実地調査無しの場合の新規認証申請の標準的事務処理期間は65日のところ令和3年度実績の中央値は業務日で11日)、⑥顧客に対するアンケート調査において、認証審査の満足度は5点満点中4.08点と高い評価(令和4年5月実施)、⑦医薬品医療機器等法及びQMS省令の改正を踏まえた「医療機器の法令関連用語集(第4版)」の顧客への無料配布、などを継続してまいります。
特に、「専門性の高い認証業務の実施」に向けて、①当財団を含めてわずか2機関のみである、全ての範囲の指定高度管理医療機器、指定管理医療機器及び指定体外診断用医薬品を審査対象としている認証機関としてあらゆる認証審査に対応、②特に当財団による認証比率が高い歯科用医療機器や、全ての指定高度管理医療機器(クラスⅢ医療機器)の審査に積極的に対応、などを継続してまいります。このような取り組みを通して、令和6年7月に迎える20年目までにこれまで以上に新規参入企業や中小企業に頼られる認証機関に成長していきます。
本年は第二期中計による事業活動を行う3年目の年となります。一方、新型コロナウイルス感染症のパンデミック以後、在宅ワークやeラーニング、ウェブ会議等のデジタルツールによる非接触活動が日常となりました。他方、コロナに起因したものですが、国全体・社会全体が医療に直結しているということが明らかになるなど、社会変革や技術進展にあわせて当財団も随時変化していく必要性を感じています。医療機器センターは、これからも産官学臨のパイプ役となって〝明日の医療機器〟を総合的に支援していく活動を更に充実させていきます。今後も皆様方からの倍旧のご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
次に、ふくしま医療機器産業推進機構では、福島県から2016年11月に開所した「ふくしま医療機器開発支援センター(以下「ふくしまセンター」という。)」の管理運営を受託しておりますが、このふくしまセンターは医療機器の開発から事業化までを一体的に支援する国内初の施設として整備されたものであり、福島県が進めてきた「次世代医療関連産業集積プロジェクト」の拠点施設です。近年益々その役割の重要性と発揮する機能に対して、医療機器産業界のみならず、医師・看護師・臨床工学技士など各方面の医療チームの方々からも大きな期待が寄せられつつあり、大変喜ばしく思っております。
ふくしまセンターが行う「医療機器の安全性評価試験」の最大の特徴は、大型動物(実験用ブタ)に特化した生物試験から電気・物性・化学分析試験をワンストップで実施できることにあります。開所以来、ふくしまセンターでは、在籍する獣医師や放射線技師、臨床工学技士等による専門的な管理の下、骨材料の長期埋植試験や血管内治療カテーテル、デバイスの性能評価等を実施してきたほか、病理検査や血液・尿検査等についても信頼性の高い試験データを提供しております。
また、医療機器に対するEMC試験や電気安全性試験を始め、防水・防塵試験や梱包輸送試験、インプラント用骨ねじの引抜試験、RoHS指令対象物質の分析や残留ガス分析など、各種の電気・物性・化学分析試験についても多くのお客様からご愛顧いただいております。
ふくしまセンターに求められる「開発から事業化までの一体的支援」につきましては、福島県と連携しながら、試験や評価の実施に加え、開発支援やマッチング、販路開拓、海外展開など、お客様のニーズや課題に合致した総合的な支援に取り組んでおります。
また、マッチング事業では、18回目となる医療機器設計開発・製造に関する展示情報展「メディカルクリエーションふくしま2022」を、3年ぶりの現地リアル開催致しました。「医療技術の最前線に見て・触れて・体感する」をキャッチフレーズに、東日本大震災を経験した福島ならではの企画として、「救急・災害医療における医療機器の価値」と題したオープニングセミナーを始め、モバイルSCOTやMedical―Connexの車両を展示、実演いただきました。
特別企画「模擬病院へ行こう」では、手術支援ロボットや多数の最新手術室関連医療機器を始め、エクモカーの展示等、見て・触れて・体感するにふさわしい多彩な展示内容となりました。
また、ふくしまセンターがAMED事業「地域連携拠点自立化推進事業」の採択を受け活発に活動を開始したことから、「医療機器開発連携推進ネットワーク合同シンポジウム」と称し、48の医療機器開発拠点大学及び支援機関が一堂に会し有意義な討議がなされました。
さらには、第三回目となるこれからの医療産業や医療業界を担う学生を対象にした「創生アイデアコンテスト」を開催し、全国26都道府県から高校、大学、大学院生など81チームの参加がありました。当日は、上位8チームが最終プレゼンテーションを行い、学生ならではのアイデアが披露され、素晴らしいコンテストとなりました。
3年ぶりとなったメディカルクリエーションには200社/団体を超えるブース出展、3,700名を超える来場者となり、大きな賑わいのもと開発担当やエンジニアの方々、大学等の研究者の皆様方等が新しい技術や新しい製品の創出に向けた活発な情報交換が行われ、加えて多くの次代を担う学生が集う機会を提供することができました。
さらに、医師、看護師の医療手技・看護技術トレーニングや臨床工学技士養成校による臨床技術トレーニングなど、実験用ブタや高機能シミュレーターを利用したトレーニングニーズに応えると共に、高校生や医科大学生の医療体験の場としてふくしまセンターをご利用いただいています。
ふくしまセンターは、一昨年11月に開所して5年が経過したことを期に、初めの5年間は試験機関としての基本的な機能を備えるための期間(第Ⅰ期)であり、一昨年の4月から新体制がスタートした今期を、ふくしまセンターが「国内随一の医療機器開発支援拠点」となるための第Ⅱ期と位置付け活動しております。
まず一つ目は、ふくしまセンターの各種活動やそれによる成果を積極的かつ適切に広報し、県民及び関連業界に周知してセンターの認知度を上げ、福島県が医療機器産業の先進県であることを広く知ってもらうことであります。
県内報道機関向けへのメディア戦略に加え、企業向け、医療従事者向け、学生・一般向けに加え医療機器GLP解説のプロモーションビデオの作成など、各種施策を実行に移し、テレビ・新聞など様々な媒体による報道が大幅に増加しました。
一昨年には県民にふくしまセンターの役割とその業務を知ってもらうためのオープンイベント「医療機器わくわく体験デー」を開催し、約700名の方にご来場いただきましたが、昨年はさらに若い世代の小・中学生にまでその枠を広げた「メディカルキッズパーティー」としてオープンイベントを開催したところ、2,200名を超える方々の来場があり、センター中が子供たちの歓声であふれました。
二つ目は、センター運営に不可欠な医療機器GLP、ISO/IEC17025、AAALACの各認証を維持更新し、顧客の依頼に確実に応えるための人材確保・育成と組織体制の整備を進め、顧客からの信頼を得るための企業文化を醸成することであります。
ISO/IEC17025につきましては、EMCや電気安全性、化学分析試験等の分野における認証の更新審査を滞りなく更新し、また、動物愛護・福祉の観点から認証取得しているAAALAC Internationalについても、昨年、認証の更新審査を滞りなく更新いたしました。
新型コロナ感染症対策から審査時期が遅れていた医療機器GLP(優良試験所基準)の適合施設としての認証につきましても、昨年5月に一般毒性試験に加え血液適合性試験にも適合拡大し、更新されました。
これらの第三者認証をセンターの「強み」として発信し、更なる信頼性の向上に努めるとともに、海外からの試験受託も視野に入れながら、より一層、お客様のニーズにお応えできるよう取り組んでまいります。
三つ目は、ふくしまセンターの各機能を個別に推進するのではなく、関連させて推進することで相乗効果を生み出し、人材の育成、経験の蓄積をも図ることで、医療機器開発支援のプロ集団を目指すことであります。
一昨年から始めた、県内高校生を対象に、〝医療〟や〝医療機器〟の魅力に触れてもらう機会を提供し、センターならではの機能や技術を体験してもらいながら医療関連のものづくり企業を知ってもらう「医療のしごと体験デー」を始め、「医療のしごとわくわく体験デー」そして、前述の「メディカルキッズパーティー」など、職員全員参加で開催することが、職員間の理解と連携深化、さらにはプロ意識の醸成にも大いに寄与しています。
四つ目は、臨床及び医療機器産業におけるニーズ・シーズを捉え、新たな戦略的事業の開拓を目指すことであります。
一昨年、地域連携拠点自立化推進事業(AMED事業)に採択され、ふくしまセンターが東北地方の広域連携拠点として、医療機器開発エコシステムの構築に向けた取組を鋭意進めております。
特に、同事業に採択された他の4拠点を始め、医療機器開発拠点各大学との連携、さらには精密機器加工を得意とし歴史ある諏訪圏工業メッセとの連携等、医療機器開発をスムーズかつ加速するための連携を〝Connected in Fukushima〟としてすすめております。
引き続き、ふくしまセンターは、県内の医療機器メーカーや医療機関等に対し付加価値の高いサービスを提供し、福島県の医療関連産業の育成・集積に積極的に取り組むことはもとより、広く我が国の医療関連産業全体の更なる発展に貢献してまいります。
皆様には、今後とも「福島へ行けば何とかなる」〝Connected in Fukushima〟を合言葉に、是非ふくしまセンターをご利用いただき、ご愛顧くださいますようお願い申し上げます。
以上、小生が共に理事長を務めます公益財団法人医療機器センター、並びにふくしま医療機器開発支援センターを運営します一般財団法人ふくしま医療機器産業推進機構に関して現況をお示ししましたが、わが国の医療機器開発・普及並びに産業振興やコロナ感染症パンデミックで顕在化した平時・緊急時のいずれの時相にも耐えうる堅固な日本の医療機器産業を強靭化するために、さらには今後の地球規模での真の医療提供価値を高めるための医療機器の研究・開発・普及の中核的拠点となることを目指して、二つの財団法人が共に手を携えて職員一同で精進して参ります。
最後になりますが、今年こそコロナ感染症に収束見通しが得られ各界各位が目標に向かって日々邁進出来ますよう心よりご祈念申し上げます。