医工連携

ミリ波センサーで患者転倒検知【富士通】

和歌山県立医大と共同実証実験を開始

富士通(社長=時田隆仁氏、東京都港区)と和歌山県立医科大学(理事長=宮下和久氏、和歌山市紀三井寺)は、カメラを使わずにミリ波センサーを用いて人の姿勢を推定し、姿勢の変化から行動を詳細に検知する富士通独自のAI技術「行動分析技術Actlyzer(アクトライザー)」を活用し、高齢者の転倒などの状況を早期に発見し骨折などの重症化リスクの低減を目指す共同実証実験を開始した。

両者は病院施設で被験者として高齢患者や要介護者の協力者を募り、実証実験を実施する。室内に設置したミリ波センサーから患者の姿勢を点群データとして収集し、富士通の見守り技術により転倒や転倒につながる動作を検知した結果について、ベッド周りに設置されている離床センサーのログや、実証実験用に設置したカメラ映像などと比較して、適切に検知できているかどうかなどの有効性の評価と改善を行う。

収集する点群データは電波の照射と対象人物からの反射で取得されるため、カメラ映像と異なり個人を特定する情報を含まず、プライバシーに配慮した見守りが可能となる。

和歌山県立医科大学は、富士通の分析結果を医療現場の知見を用いて技術評価し、富士通はその評価結果に基づき見守り技術のさらなる改善を行い、2023年度末までに病院などの施設向けにプライバシーに配慮した見守り技術のサービス化を目指す。

全日本病院協会の調査によると、21年度に国内18病院で1か月あたり290件の入院患者の転倒が発生している。高齢者の転倒は重大な障がいにつながるリスクが高く、見守りが必要な一方で、病室などにカメラを設置する見守り技術は患者のプライバシーを損なうことが課題になっている。