企業活動

米国でメディカル事業強化【キヤノン】

「キヤノンヘルスケアUSA」設立へ

キヤノン(会長兼CEO=御手洗冨士夫氏、東京都大田区)は、米国に新会社「キヤノンヘルスケアUSA」の設立を決定した。メディカル市場において世界最大規模で影響力の大きい米国で事業の強化を図り、同社メディカル事業を強化する。

新会社は2023年1月に設立予定。手がけていく事業は米国およびグローバルにおけるマーケティングを担い、米国のコンポーネント事業を統括する。米国の医療産業集積地の1つであるオハイオ州クリーブランド市近郊にオフィスを構え、従業員は約20人になる予定だ。

これまで、メディカル事業のマーケティン機能は、キヤノンメディカルシステムズ(社長=瀧口登志夫氏、栃木県大田原市)の本社に集中させていた。今回、その機能の一部を新会社に移管し、23年1月から「グローバルマーケティングセンター」を立ち上げ、アップストリームマーケティングを強化する。

最先端医療を担う医療機関とネットワークを構築し、市場を深く理解することで、医療市場のトレンドや臨床ニーズをとらえた製品開発・ソリューション提案につなげていく。まずはフォトンカウンティング検出器搭載型X線CT実用化の研究に向け、米国医療機関との共同研究を開始する。

また、キヤノンメディカルシステムズUSAによる製品販売・サービスに関する機能の一部を新会社に移設。ダウンストリームマーケティングと連携させることで、米国における画像診断領域でのシェア向上を目指す。

新会社設立の候補地のクリーブランド市近郊には、19年にキヤノングループに加わったMRIの基幹部品の開発・製造を手がけるクオリティー・エレクトロダイナミクス社があり、これを新会社の傘下に位置づけ、システム事業とコンポーネント事業の連携強化を図っていく。

さらに、キヤノンが10年間にわたり、マサチューセッツ総合病院とブリガム・アンド・ウイメンズ病院と進めてきた先端技術の研究活動を、キヤノンメディカルシステムズが引き継ぎ、グローバルマーケティングセンターとの連携の下、事業化を目指した共同研究を推進する。将来的には米国内での開発・製造など、他の機能の拡充についても視野に入れていく。