医工連携

手術支援ロボを遠隔操作【N T T、メディカロイド】

同一手術環境の共有に向け実証開始

日本電信電話(社長=島田明氏、東京都千代田区、NTT)とメディカロイド(社長=浅野薫氏、兵庫県神戸市)は、遠隔手術の実現に向け、NTTのIOWNオールフォトニクス・ネットワーク(APN)に、メディカロイドの手術支援ロボット「hinotoriサージカルロボットシステム」を接続することで、物理的に離れた環境を1つの環境のように統合し、手術室の状況をよりリアルに伝送でき、コミュニケーションがスムーズにできる場の共有を目指した共同実証を開始した。

共同実証ではNTTが武蔵野研究開発センタ内に構築している大容量・低遅延・遅延ゆらぎほぼゼロ、の特徴を持つAPNの実証環境下(100㌔㍍以上)で、手術支援ロボットを接続して共同実証を行っていく。

具体的には拠点間で1波長あたり100Gbps以上の大容量、物理限界に迫る低遅延性、ネットワーク遅延の時間変動がない遅延ゆらぎほぼゼロの特徴を持つ光伝送パスを実現し、通常の手術と変わらない動きでの遠隔操作に関する実証を行う。

また、超低遅延映像伝送技術により、8Kの超高精細映像で手術環境の共有に必要な手術支援ロボット以外の情報を光伝送パスに非圧縮でダイレクトに送出し、長距離かつ超低遅延のリアルタイムコミュニケーションを図るための実証を行う。

さらに、コミュニケーションの阻害要因となる音のみを除去するノイズキャンセリングにより、同一環境で手術しているかのような手術環境を共有する実証を行う。

そのほか、量子計算機でも攻撃が困難な暗号鍵交換技術や、セキュア光トランスポートネットワーク技術を用いて、遠隔手術で送受信するデータを耐量子計算機暗号技術で交換した暗号鍵で暗号化することによる、量子計算機時代のセキュリティ確保に関する実証を行う。

手術支援ロボットによる遠隔手術は、人口減少や外科医師数の減少、医療の均てん化などの社会課題の解決だけでなく、地域医療支援と若手外科医の教育による医療レベルの向上にも寄与することが期待されている。