企業活動

スマートホスピタル構築へ【GEヘルスケア、清水建設】

DXで病院運営と施設運営を融合

「医療情報のコマンドセンター」と「施設情報の中央制御」を融合させた将来のコマンドセンターのイメージ

GEヘルスケア・ジャパン(社長兼CEO=多田荘一郎氏、東京都日野市)と清水建設(社長=井上和幸氏、東京都中央区)は、病院運営と施設運営の両面からDX(デジタルトランスフォーメーション)を追求したスマートホスピタルの構築に向けて協業することで合意した。

協業により、GEヘルスケアと淡海医療センター(理事長=北野博也氏、滋賀県草津市)が協働で導入した日本初の「コマンドセンター」と、清水建設の建物OS「DX―Core」のデータ連携を図り、▽医療サービスの質向上▽医療従事者の業務効率化▽患者の利便性向上――に向けたサービスを提供していく。

昨年4月に稼働した淡海医療センターのコマンドセンターは、中央集中管制塔としての役割を果たすシステムで、医療情報システムから収集する電子カルテなどのデータをリアルタイムに分析し、病床の稼働状況やスタッフの業務を画面上で見える化し、病床の割り当てやスタッフ配置などの迅速な意思決定を支援している。

協業のフェーズⅠでは事前準備として、淡海医療センターの既設設備機器を集中監視するプラットフォームをDX―Coreで構築する。コマンドセンターとのデータ連携を図るとともに、病院運営の効率化に向けた課題を抽出する。

フェーズⅡでは両システムのデータ連携実証を行う。例えばDX―Coreが監視カメラ画像から院内の混雑具合を判断し、コマンドセンターがスタッフの配置変更を提案。また、コマンドセンターが新規入院患者の受け入れ病棟の割り当てから、DX―Coreが制御する案内ロボットが患者を当該病棟まで案内する、といった実証を行う。

最終章のフェーズⅢでは、フェーズⅡの実証成果を踏まえ、地域医療連携推進法人湖南メディカル・コンソーシアム(滋賀県草津市)に加盟する31法人99施設を対象に、コマンドセンターとDX―Coreを連携させたシステムの展開を目指していく。

超高齢化が進む日本では、『地域医療構想』の実現に向けた動きが活発化している。地域医療構想は地域に存在する各病院が担当する医療機能を選択し、この機能を持ち寄ることで地域全体の医療を完結させることを目指している。

今回、協業する3者は病院経営と施設運営のデータ連携による医療DXの推進により、地域医療構想の実現に向けた取り組みを加速させる。