医療の多様性に対応へ【日本ウズベキスタン・シルクロード財団】
「第28回ビジネスセミナー」開催
日本ウズベキスタン・シルクロード財団のヘルスケア部会(部会長=松本謙一氏)は、7月5日㈫午後3時から、東京・大手町のKKRホテル東京で「第28回シルクロード・ビジネスセミナー」(テーマ=日本とウズベキスタンとの外交関係樹立30周年におけるヘルスケア分野での協力関係の展望)を開催した。
開会にあたり、あいさつした松本部会長は2019年12月にウズベキスタンのミルジヨエフ大統領が初来日した際、総理公邸で開かれた公式晩餐会で、ミルジヨエフ大統領と色々な話をしたことを回顧し「ミルジヨエフ大統領は話の中で、ウズベキスタンではテレビや自動車などは国産化できるが、医療機器だけはロシアと中国から輸入している。そこで医療機器を国産化できないだろうか、と相談を受け、協力することになった」と振り返った。
ミルジヨエフ大統領が国産化を望む医療機器を2つ挙げたことにふれ「1つは、カリモフ前大統領が脳疾患で亡くなられたこともあり、脳神経外科関連の医療機器の国産化を望んでいた。もう1つは、ウズベキスタンでは出生率が高いが約10%は未熟児で生まれ、約7%はすぐに亡くなってしまう現状を踏まえ、未熟児保育器などができないか望んでいた」と明かした。
ミルジヨエフ大統領と松本部会長の話し合いで決まったウズベキスタンにおける医療機器の国産化に向けての活動については「ウズベキスタンを訪問して現地の工作機械工場を視察するなど、医療機器の国産化への活動を推進していたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、活動は休止状態となっている」と説明した。
ウズベキスタンでの医療機器の国産化への課題に言及しては「ただ単に医療機器を作ればいいというものではない。医療機器を使いこなす臨床工学技士などの人財育成や、安心・安全に使用するための薬機法などの法体制の整備も必要になる」とし、国も、作る人も、法体系も違う中での活動は多様性への対応が求められることを説いた。
このあと、ビジネスセミナーでは外務省欧州局中央アジア・コーカサス室の武田善憲室長が『林芳正外務大臣の中央アジア訪問』、NTT東日本関東病院消化管内科の大圃研部長が『世界をリードする日本の内視鏡診療について』、日本ウズベキスタン・シルクロード財団のバヒリディノフ・マンスール代表理事が『ウズベキスタンでのヘルスケア分野の進捗と今後の課題の検討状況』をテーマに、それぞれ講演を行い、参加者らに各領域での最新のヘルスケア情報を提供した。