業界団体

感染防護用品データベース構築で合意【NUHCと医器販協】

サプライチェーンの強化を目的に

合意書の手交を行う国立大学病院長会議の横手会長(左)と日本医療機器販売業協会の浅若会長

国立大学病院長会議(会長=横手幸太郎氏、NUHC)と日本医療機器販売業協会(会長=浅若博敬氏、医器販協)は、サプライチェーンの強化を目的に、感染防護用品(PPE)データベースの構築に向けた合意書を締結した。両者は6月24日㈮午後4時から、東京・外神田の秋葉原UDXで「記者会見」を開き、合意に至った経緯や目的を説明した。

感染防護用品を安定的に調達へ

記者会見で横手会長は、NUHCが新型コロナウイルス感染症の第一波から第二波にかけて、感染防護用品が不足したことを受け、感染防護用品調達安定化事業(文部科学省委託事業)を実施したことにふれ「この事業を通して、今後は感染防護用品のデータベースが必要になることを痛感した。データベースの構築には国立大学病院の購入実績データベースと、医器販協の商品マスタデータベースを結合し、また、メーカー各社(57社)の協力もいただき、サプライチェーンの強化を目的に、言わば〝一気通貫〟のデータベースを構築していく」と発表した。

パンデミック時でも安定供給へ

浅若会長は大規模災害時の医器販協の対応について「東日本大震災の時に各地域の会員企業と集中輸送体制を構築し、被災地の医療機関へ医療機器を供給した。この経験を基に大規模災害時の対応マニュアルを作成し、その後に起きた熊本地震などの自然災害に対応してきた。しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、自然災害とは全く異なる状況で、必要なマスクなどの感染防護用品が市場から姿を消し、パンデミックに対するリスク管理が十分にできていなかったことに気づかされた」と語った。

この経験から、浅若会長は「医器販協はパンデミック時の備蓄提言を関係各所に行ってきた。そのような折に国立大学病院長会議様からお声がけいただき、今回のデータベース構築に参加することになった」との経緯を報告した。

マスク90%、ガウン70%が中国依存

また、横手会長は今年の上海ロックダウンや、昨年のタイの洪水で現地工業団地が浸水被害を受けたことにより、世界全体のサプライチェーンが影響を受けたことに言及し「日本は感染防護用品を、どこから、どのくらい輸入しているか、の情報もなかったので調査した結果、マスクは約90%が中国、医療用ガウンは約70%が中国からの輸入に依存していることがわかった。すなわち日本は中国からの輸入が途絶えると大きな影響が及ぶ。調達先が1か所だけでは今回のような上海ロックダウンの影響による欠品の事態に対応できない。調達先の多元化が必要だ」と訴えた。

感染防護用品データベースの概要に関しては「生産国や生産地域が含まれるデータベースを構築していく。グーグルマップを利用し、各用品の生産地域が一目でわかるようにする。もしも当該用品の生産地域に災害などが起き、生産できなくなった場合に、すぐに同等品を別の地域から調達できるように〝見える化〟する。データベースは年内にホームページで公開を予定している」と生産地域の把握により、サプライチェーンの見える化、強化を目指していくことを表明した。