110年前のサクラ製品 中国・中山艦博物館に展示【サクラグローバルホールディング】
「シンメルブッシュ氏消毒器」2機種 陳列
サクラグローバルホールディング(会長=松本謙一氏、東京都中央区)のグループ企業である中国・櫻花医療科技有限公司(泰州)の船谷毅総経理に、このほど中国武漢市の「中山艦博物館」の黄文建氏から、博物館の陳列品に関して問い合わせがあった。
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その内容は、陳列されている製品に『G.MATSUMOTO&CO.TOKYO 東京本町三丁目 鰯屋松本器械店』の銘板があることから、黄氏は「中山艦は、日本から1912年に購入した船であるため、添付した写真はサクラの110年前の製品ではないか?」との思いから、陳列品の製品名と写真を貼付し「製品の確認と正式名称および用途」、博物館見学者に説明するための「簡略な会社紹介」をお願いしたい、という内容であった。
これを受けた船谷総経理は、グループ会社である、いわしやサクラ(東京都中央区)の田村幸一郎社長へ詳細な調査を依頼した。
田村社長は、送られてきた写真をもとに、明治43年に発行した、いわ(〝わ〟は変体仮名)しや松本器械店、医科器械目録第十六版と照合した結果、問い合わせの製品はサクラの製品で間違いないことが判明した。銘板が何よりの確証となった。
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問い合わせ製品の正式名称は「シンメルブッシュ氏煮沸消毒器」で、用途は診療や手術時に使用する器械・器具類の煮沸消毒。消毒は100℃・約30分。中山艦に搭載、使用されたため熱源は蒸気仕様となっている。
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もう一台は「シンメルブッシュ氏乾燥装置附蒸気消毒器」で、予め貯槽缶(丸形カスト)に繃帯材料・ガーゼなどの物品を収納して、器内に収めた後、蒸気で消毒し、引き続き蒸気熱による乾燥を行う。作用は器体底部の煮沸槽内の水を加熱蒸発させる。発生した蒸気を器内に噴入させて100~105℃に達してから約30分間消毒を行う。続いて蒸気の噴入を切り替えて周壁内(二重壁の間)に送ると同時に、その排出力を応用して吸引力を生じさせ、これによって器内の湿気を排出するとともに外部の乾燥空気を入れる。内部の消毒済み物品には周壁から熱を与えているため、乾燥が促進される機構となっている。乾燥時間は約40分間となっている。
【「中山艦博物館」について】
「中山艦」はもともと「永豊船」と呼ばれ、サン・ヤットセン氏にちなんで名づけられた中国近現代史の名艦。1910年、清政権が長崎三菱造船所に発注。1916年6月に建造、1922年6月サン・ヤットセン氏は、チェン・ビンミンの反乱を制圧するために本船で上陸した。1925年4月、サン・ヤットセン氏を記念して永豊船を「中山艦」と改名、1938年、武漢戦争で長江の金口海域で日本機により沈没した。その後引き上げられ博物館の船体展示室となった。