医工連携

帝京大と放射線防護板を開発【エムエス製作所】

放射線の遮断と円滑な作業を両立

防護板「FORUshield」(フォルシールド)

エムエス製作所(社長=迫田邦裕氏、愛知県清須市)は、帝京大学医学部内科学講座の片岡明久講師らと共同で、カテーテル治療における心エコー医や麻酔科医の放射線被ばくを防止する防護板「FORUshield(フォルシールド)」を開発した。

近年、患者の負担を軽減する目的で心臓弁膜症に代表される構造的心疾患(SHD)のカテーテル手術が増加。カテーテルの手術には放射線照射が必要だが、手術に関わる心エコー医や麻酔科医は従来の防護板から身を乗り出し、被ばくを顧みずに治療にあたっており、喫緊の対策が求められていた。

フォルシールドは従来の防護板にはない、手術の際に用いる経食道心エコープローブや麻酔器につながる呼吸器回路、輸液ラインを通す開口部を設置。心エコー医と麻酔科医が防護板から身を乗り出さず、後ろに並び立って手技が行える。

医師は防護板から身を乗り出さず、後ろに並び立って手技ができる

上部は鉛アクリル樹脂で視界も良く、開口部はアクリル板の向きの組み合わせによって4通りの高さ調整ができるので、個々人の体格に合わせてセッティングできる。また、鉛板に差し替えれば従来の防護板としても利用できる。

エムエス製作所の迫田社長は現役医師を兼務し、ものづくり技術で医療に貢献することを模索している時に、帝京大学から相談を受け、設計・開発に取り組んだ。開発にあたってはアクリル加工でワールドケミカル技研(愛知県清須市)、板金加工でカネトヨ(愛知県名古屋市)が参画。現在、帝京大学にて特許出願中で、来夏の製造販売に向けて調整を進めている。