「2022年賀詞交歓会」を開催【日医工】
コロナ禍を鑑み来賓挨拶のみ実施
日本医療機器工業会(理事長=松本謙一氏、東京都文京区、日医工)は、1月6日㈭午後3時30分から、東京・丸の内のパレスホテル東京で、リアルとオンラインのハイブリッド方式で「2022年賀詞交歓会・特別講演会」を開催した。賀詞交歓会はコロナ禍を考慮して、飲食はともなわない形で、来賓の新年のあいさつのみが行われた。
賀詞交歓会の冒頭、あいさつした松本理事長は「激動の時代と言われるが、物事の本質は変わらない」と前置き、その一例として、2020年11月に開かれた革新的医薬品・医療機器創出のための官民対話で、医機連から出された4つの論点(①イノベーションの加速に向けた環境整備②医療機器の国内供給体制の整備③DXによる医療データの利活用④国際展開への対応)を列挙し、今も本質は変わっていないことを示した。
ダイバーシティが今年のキーワード
また、今年のキーワードとして『ダイバーシティ(多様性)』を挙げ「以前は『ドル高、円安』となれば輸出企業にとって福音でしたが、昨今の半導体など電子部品不足により、輸入部材の値上がりから製品高、納期の遅延などを招いている。地方の病院では業者が納期を守らないとペナルティを課したり、出入り禁止になる実例もある。これら課題も多様性への対応になるかと思う」と述べた。
そのほか「脱炭素に関しては、あまり急ぎすぎると反動が出てくると感じている。イノベーションの加速については、イノベイティブな製品を使いこなす人材が育成されていない発展途上国などでは、かえって戸惑ってしまうだろう。激動の時代には視野を広く、かつ考えを深くしていくことが大事になる」と語った。
このあと、自由民主党の上川陽子衆議院議員(WEB参加)と田村憲久衆議院議員(ビデオ参加)、古川俊治参議院議員(電報)、武見敬三参議院議員、厚生労働省の大坪寛子大臣官房審議官、鎌田光明医薬・生活衛生局長(WEB参加)、経済産業省の廣瀬大也医療・福祉機器産業室長――が、それぞれの立場で来賓祝辞を行った。
「医療機器基本計画」見直しへ
医療機器企業の国際展開に期待
このうち、上川議員は「私が会長代行を務める『優れた医療機器を世界に迅速かつ安全に届けるための議員連盟』は、平成25年に設立され活動してきた。平成26年には議員立法の医療機器促進法を制定して、これに基づいて平成28年には医療機器に特化した基本計画が制定された。制定から5年が経ち、現在、基本計画の見直しに向け関係省庁で議論が行われている」と医療機器基本計画のブラッシュアップを行う予定を明かした。
田村議員は「医療機器への期待や、取り巻く環境が変化している中、本年は医療機器基本計画の見直しや、診療報酬改定が行われる重要な年となる。新型コロナウイルス感染症への対応により、明らかになったさまざまな課題も踏まえ、医療現場が必要とする医療機器の安定供給や、イノベーションを適切に評価する仕組みの構築に向け、議論が深まることを期待したい」と述べた。
武見議員はWHOのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の親善大使を拝命していることに言及し「20年後には65歳人口の8割近くがアジアに居住していることになる。これにともない疾病構造も大きく変わってくるので、UHCの観点から、医療の提供も質の高さが重要になる。健康格差が生じないよう、日本の医療機器メーカーのアジアでのマーケットが広がることで、アジアでの医療の質の高さが確実に均てん化するだろう」とし、日本の医療機器メーカーが国際的視点を持ち、発展していくことに期待を寄せた。
コロナ対応で厚労省の組織体制整備
大坪大臣官房審議官は「新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえ、厚生労働省では組織の見直しを急ピッチに行っている。医薬産業振興・医療情報審議官を新設するほか、医政局に特定医薬品開発支援・医療情報担当の参事官を配置する」と発表した。これにともない医政局の経済課は医薬産業振興・医療情報企画課(仮称)に、研究開発振興課は研究開発政策課(同)に、それぞれ名称変更される。
鎌田医薬・生活衛生局長は「医療機器は目覚ましい進歩で開発が行われている。われわれもレギュラトリーサイエンスの観点から新しい技術の実用化に向け、規制をどう対応させていくのかの視点で取り組んでいる。先の法改正ではIDATENと称する変更計画確認手続き制度を導入したほか、一昨年にはプログラム医療機器の審査に関する抜本的改革の公表や、添付文書の電子化を行った。また、本年はトレサビリティ向上に向け、製品へのバーコード表示が施行される」と述べ、厚生行政への理解と協力を求めた。
廣瀬医療・福祉機器産業室長は「今年度は医療機器基本計画の見直しを、事務局の厚生労働省と一緒に取り組んでいる。基本計画では海外展開を含め成長戦略として医療機器を位置付け、見直し作業を行っており、皆さまのご意見も反映させながら政策の形を打ち出していきたい」と述べた。
来賓のあいさつのあとは、石塚悟副理事長が『閉会の辞』を行い賀詞交歓会は散会となった。
なお、特別講演会は賀詞交歓会の前に行われ、ボイストレーナーの秋竹朋子氏(エデュビジョン代表)が「声が変わると人生が変わる・行動あるのみ」をテーマに、人前で話す機会の多いビジネスパーソン向けの実践的なボイストレーニングを披露しながら講演を行った。
秋竹氏は声を出す4ポイント(呼吸、発声、共鳴、滑舌)を説き、体をリラックスさせる正しい姿勢での呼吸法(腹式呼吸)や、安定した声を出す発声法、滑舌をよくするトレーニング法などを参加者に体験させながら解説した。