マイクロメド社に出資【オムロン】
ブラジルでの遠隔診療サービス参入
オムロンヘルスケア(社長=荻野勲氏、京都府向日市)は、ブラジルで医療機関向け心電計や心電図解析プラットフォームを提供するマイクロメドバイオテクノロジアの株式30%を取得した。株式取得により、ブラジルにて家庭で記録した心電図データを用いた遠隔診療サービス事業に参入し、心血管疾患事業を強化していく。
マイクロメド社は医療機関向け心電計の製造・販売を通じて、病院や医師・医療関係者とのネットワークを構築してきた。また、医師向けに心電図解析プラットフォームを提供しており、心電図解析における高いノウハウを保有している。
一方、オムロンは薬局を介した血圧計の販売を強化しながら、2018年にブラジルを含むラテンアメリカ市場向け血圧計の生産工場を新設するなど、ブラジルにおける家庭血圧の普及に取り組んでいる。
今回の株式取得により、マイクロメド社が保有する専門家ネットワークや心電図解析での実績と、オムロンが持つ家庭での生体情報センシング技術や販売ネットワークを組み合わせることで、家庭でのバイタルデータを活用した高血圧や心房細動の早期発見、治療介入を実現していく。
なお、オムロンでは15年から「脳・心血管疾患の発症ゼロ(ゼロイベント)」を循環器事業のビジョンに掲げ、高血圧や心房細動の早期発見、治療介入につながるデバイスの開発や、遠隔診療サービスをグローバルに展開している。
ブラジルでは死亡要因の1位が心血管疾患といわれ、年間約30万人が急性心筋梗塞などの心血管疾患を発症している。また、ブラジルの国民総生産(GDP)に占める医療費は約1割と、他の新興国に比べ高いため、今後は医療費削減に向けた予防医療への関心が高まると考えられている。