新興国向け健診事業を加速【富士フイルム】
インドで画像診断支援AIの有効性を検証
富士フイルム(社長=後藤禎一氏)は、新興国向け健康診断サービス事業として、インドで画像診断支援AI技術の有効性実証に向けた検証事業を開始した。同事業は2月に同社がインドに開設した健診センター「NURA(ニューラ)」(ベンガルール)を活用して実施する。
NURAは富士フイルムの医療機器やAI技術を活用した医療ITシステムなどによるがん検診や生活習慣病検査サービスを提供している。開設以来、ベンガルールを中心としたエリアの住民や、近隣企業・医療施設関係者など、20代~80代までの幅広い年齢層が受診している。
今回、開始する検証事業では、2022年1月までにNURA受診者のうち2000人分の胸部CT画像データを対象に、AI技術を活用した画像診断支援機能が、病変の見落とし防止や読影スピード向上につながるか、を検証する。
具体的にはNURAで撮影したCT画像に対し、画像診断支援AI技術を活用して医師が読影した結果と、別の医師が画像診断支援AI技術を活用せずに読影した結果を比較し、診断結果とスピードの差異を分析する。
これらの分析結果を元に、AI技術によって見落としを防止しながら医師の読影ワークフロー全体にかかる時間を削減する効果を検証。新興国の限られた医療リソースでも効果的に健診サービスの展開が可能であることを実証する。
また、新興国の健診サービス向けに、CT画像から腹部(腎臓・肝臓・胆のう)の異常検出を支援する新たなAI技術の開発にも取り組んでいく。
なお、同事業はデジタル技術を生かしながら、アジア新興国の社会課題解決に貢献する活動として評価され、経済産業省が推進する「アジアDX促進事業」に採択された。