社員技術者の博士号取得を支援【島津製作所】
大阪大学と「ラボプロジェクト」開始
島津製作所(社長=上田輝久氏、京都市中京区)は、4月から大阪大学と共同で、30歳前後の社員技術者・研究者の博士号取得を支援することを目的に「REACHラボプロジェクト」を開始した。同プロジェクトを通じて2025年度までの5か年にわたり、社内公募した社員を複数の研究科に派遣する。
同プロジェクトは対象社員や同社にとっての『新たな専門性の獲得』、『国内外の人脈構築』につなげる狙いがある。対象社員は大学院入試を経て、大阪大学に開設する「REACHラボ」に2~3年在籍して博士号取得をめざす。
対象社員は教育派遣扱いとなり、入学金・授業料などの学費は同社が負担する。在学中は同社事業に関わる研究に指導教員らとともに取り組み、学位取得後は社内に戻って研究成果の事業化・社会実装に従事する。
同プロジェクトでは人文系も含んだ多様な研究テーマでの人材育成を検討していく。一人ひとりの人が多様な知見と経験を持つ『個人内多様性』(イントラ・パーソナルダイバーシティ)獲得を支援し、イノベーション人財の育成をめざしていく。
同社では新卒入社時点で修士号を持つ技術者・研究者が多いものの、海外の研究者・研究機関との共同研究・協業の主導には、博士号レベルの研究遂行能力が求められ、新たな人材育成の枠組み不可欠になっていた。
これまでも両者は2015年に共同研究講座を開設し、19年からは『大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所』に発展させ、マルチオミックス分野の研究・協業を進めてきた。こうした長年にわる両者の信頼関係からREACHラボは生まれた。