業界団体

新会長に三村氏 就任【医機連】

「記者会見」で今後の運営方針など表明

三村会長

医療機器関係の20団体で組織する日本医療機器産業連合会(医機連)は6月8日㈫午後2時から、東京・大手町のKKRホテル東京で「記者会見」を開き、任期満了にともなう役員改選で、松本謙一会長(サクラグローバルホールディング会長)が副会長に退き、三村孝仁副会長(テルモ会長)が新会長に就任したトップ人事について発表した。

コロナや医療安全、脱炭素、医療DX等に対応

記者会見で三村会長は医機連会長への就任にあたって、①コロナへの対応②医療の安全保障③脱炭素社会の到来④医療のDX(デジタルトランスフォーメーション)⑤コンプライアンスの強化――の5つの課題を挙げ、その現状や方向性などについて説明した。

コロナへの対応では昨年1月以降〝医療を止めない〟という強い信念のもと、業界一丸でコロナに立ち向かってきたことふれ「必要な医療機器などの確保に全力を尽くしてきたが、未だに平時に戻ったとはいえない。また、新たな問題として半導体不足は当業界にも影響を及ぼし始めている。各団体・企業において、もうひと踏ん張りの対応が求められている」と述べた。

医療の安全保障に関しては「今回のコロナは医療が国の安全保障上、極めて重要であることを知らしめるとともに、われわれ医療機器に関わる企業の存在意義を再定義してくれた。約1年半におよぶパンデミックとの戦いで〝医療の安全保障は国だけでは守れず、企業だけでも守れない〟ということがはっきりした」と語った。

有事に向け必要物資の備蓄など提案

これを踏まえ「日本を含め生産拠点の国内回帰を後押しする動きがあるが、自国内で全ての必要資材を生産することは不可能で、またそれが供給網の強靭化につながる訳でもない。国として強靭化を高めるには供給先を多元化するとともに、必要な主製品は一定数量の在庫を持つことが必要となる。いずれの対策も企業だけでできるものではない。国をまたいだサプライチェーンの見直しや必要物資の備蓄などについては今後、官民対話や政府の会議で提案していきたい」と表明した。

脱炭素社会の到来については、国として2050年に温暖化ガス排出を実質ゼロにする目標が示され、そのための法整備が行われたことにふれ「脱炭素への対応は当業界も例外ではなく避けては通れない。CO2 排出が大きな化石燃料に頼った電力を使わざるを得ない日本では、国の目標をクリアすることは容易ではない。医療の安全保障を確保するため国が進める生産の国内回帰と脱炭素はある意味、相反する取り組みで、今後、われわれ企業経営のかじ取りは一層、難しくなるだろう」と述べた。

一方、医療のDXでは「コロナはわれわれに〝変化の必要性〟を気づかせてくれた。保守的な医療の世界にも急激にデジタル技術が入ってきて、ヘルスケア分野におけるデジタル技術の拡大は、明らかにコロナが原動力となっている」と前置き。

「医機連では2019年に『みらい戦略会議』を立ち上げ、医療データの利活用の検討や、サイバーセキュリティへの対応、AIホスピタルプロジェクトへの参画など、デジタルヘルスへの新たな取り組みを進めてきた。さらに、プログラム医療機器の法規制や診療報酬について議論を深め、行政への提言などを担っていく組織を新たに設置する予定だ」と医療DXへの対応を報告した。

さらに、コンプライアンスの強化では、昨今、コンプライアンス違反が疑われる事例が続けて発生したことを踏まえ「これまでも医機連では企業倫理に関する講習会や新入社員向けセミナーなど、会員への周知を行ってきたが、今後はより一層のコンプライアンスの徹底と再発防止に取り組んでいきたい」と語った。

正副会長がワンチームで運営展開へ

そのほか、三村会長は正副会長体制について「医療機器はディスポーザブルから大型機器まで多種多様で、それにともない検討すべき課題も多いため、会長が全ての案件を把握して対応することは困難となっている。そこで正副会長の7名がそれぞれの経験や得意領域を活かし、役割分担してワンチームで一体感を持った運営をしていきたい」と正副会長体制を強化したことを明かした。

各副会長の役割に関しては、山本副会長が筆頭副会長となり、デジタルヘルスや環境、国際規格、プログラム医療機器などを担当。松本副会長が国際政策や企業倫理、UDIを担当。渡部副会長がみらい戦略会議の議長や産業戦略、広報を担当。福田副会長が法制、QMS、PMSなど承認審査や安全対策を担当。浅若副会長が講習・研修や販売保守、中医協対応などを担当。住吉副会長が材料保険と臨床評価を担当する。

なお、医機連の新役員体制は下記の通り。

日本医療機器産業連合会 役員
会  長
三村 孝仁(テルモ・代表取締役会長)
副 会 長
山本 章雄(日本画像医療システム工業会、富士フイルムヘルスケア・代表取締役社長)
福田 修一(電子情報技術産業協会、フクダ電子・取締役社長室経営システム部長)
浅若 博敬(日本医療機器販売業協会、丸木医科器械・代表取締役会長)
松本 謙一(日本医療機器工業会、サクラグローバルホールディング・代表取締役会長)
住吉 修吾(日本医療機器テクノロジー協会、旭化成メディカル・代表取締役社長)
渡部 眞也(H.U.グループホールディングス・取締役代表執行役副社長兼COO 兼CIO)
専務理事
中井川 誠(日本医療機器産業連合会)
常任理事
中島 孝夫(日本医療機器協会、秋山製作所・代表取締役社長)
小澤 素生(日本眼科医療機器協会、ニデック・代表取締役社長)
森田 晴夫(日本歯科商工協会、モリタ・代表取締役社長)
山本 富造(日本ホームヘルス機器協会、山本化学工業・代表取締役社長)
久芳  明(日本医療機器産業連合会医療機器政策調査研究所・所長)
理  事
水野 米治(日本医用光学機器工業会、ニデック・薬事部上級参与)
鈴木 輝重(日本医療機器ネットワーク協会、アルケア・代表取締役社長)
江嶋  敦(日本医療用縫合糸協会、ホギメディカル・学術部)
川本  武(日本衛生材料工業連合会、川本産業・取締役会長)
成沢 良幸(日本補聴器工業会、リオン・執行役員)
佐藤  誠(日本補聴器販売店協会、ニイガタエイド・代表取締役)
小野 徳哉(日本臨床検査薬協会、日水製薬・代表取締役社長執行役員)
奥田  宏(日本理学療法機器工業会、オージー技研・代表取締役社長)
浦壁 昌広(日本コンタクトレンズ協会、シード・代表取締役社長)
監  事
久米 孝之(日本コンドーム工業会、オカモト・取締役部長)
鈴木 信雄(日本分析機器工業会、日立ハイテク・アナリティカルソリューション事業統括本部部長)
樋口 幸一(公認会計士・税理士)