画像医療装置の平均買い替え年数は12年越え【JIRA】
「画像医療システムの導入状況調査」実施
日本画像医療システム工業会(会長=山本章雄氏、JIRA)は昨年11月~12月にかけて「第18回(2020年度)画像医療システム等の導入状況と安全確保状況に関する調査」を実施した。その結果、画像医療装置の平均買い替え年数は12年を超え、長期使用が固定化していることが判明した。
調査は全国の医療施設を99床以下、100~299床、300~499床、500床以上の4つの病床群に分類し、その中から無作為に抽出した1000施設の放射線部門技師長宛にアンケート用紙を郵送し、郵送調査票かWebアンケート画面のどちらかで回答が行われ、有効回答数は450施設(回収率45%)となった。
平均買い替え年数に関しては、①X線CT装置②血管撮影用X線装置③MRI装置④核医学装置(SPECT装置)⑤放射線治療装置⑥超音波装置⑦CR画像処理装置――の代表的な7機種の平均使用期間は、2008年度の第7回調査から12回連続して11年を超え、16年度からは12年となり、その後も高止まり傾向にあり、長期使用が固定化され、日常の安全点検と定期的な保守管理の重要度がより増している。
画像医療機器の長期使用が固定化
装置の稼働年数別台数については、有効調査対象51機種の実際の使用期間を▽1~5年▽6~10年▽11年以上――の3区分で調査した。最長の使用期間11年以上は51機種中12機種(24%)の装置が50%以上あり、19機種(37%)の装置が40%以上と長期使用の状況となっている。
また、6~10年と11年以上の合計が50%以上の機種は51機種中49機種(96%)と大多数を占め、平均買い替え年数の長期化を裏付ける結果となっている。
保守点検実施状況をみると、メーカーとの▽保守契約▽都度メーカーを呼んで点検▽院内で保守点検――の3項目を合計した保守点検実施率は、①一般X線撮影装置②血管撮影用X線装置③核医学装置(SPECT)④超音波装置⑤CR画像処理装置――の5機種は全体的に前回より増加傾向にあるものの、全ての医療機器の保守管理の実施義務化となった07年の改正医療法の施行から13年半を経過した調査にもかかわらず、院内での保守点検を含む保守点検実施対応が十分に進んでない状況となっている。
医療機器安全管理責任者は90%以上が設置
医療機器安全管理責任者の設置状況では、全体の90%以上の施設が設置しているものの、病床規模や設置主体で差がみられた。医療機器安全管理責任者の職種は、診療放射線技師、臨床工学技士、医師――の3職種で約90%以上となっている。
医療機器保守点検計画の策定状況は「策定している」と回答した施設が93・3%と、前回の調査から1・2ポイント良化した。
JIRAでは今回の調査結果を基に、医療施設に保守点検の必要性の啓発や点検に関わる情報提供を継続して実施するとともに、厚生労働省をはじめ関係行政機関へ保守点検実施に対する診療報酬上でのインセンティブ設定などを医療関係団体と連携して要望していく。