イスラエル社を買収へ【オリンパス】
泌尿器科分野の低侵襲治療製品を拡充
オリンパス(社長=竹内康雄氏)は、イスラエルのMedi―Tate社(メディテイト)の買収に向け、2018年11月の両社の合意契約に基づき、メディテイト社の全ての発行済株式取得のための交渉を開始した。合計の取得額は約2億6000万ドルを予定している。
メディテイト社は良性前立腺肥大症(BPH)向けの低侵襲治療デバイスの研究開発メーカー。一時的に尿道に留置して前立腺肥大による下部尿路症状を緩和するワイヤーデバイス「iTind(アイティンド)」(ナイチノール製)を製造販売している。アイティンドは折りたたんだ状態で尿路に留置することで5~7日間をかけて3方向に圧力をかけ、尿道を広げることにより排尿障害の改善をサポートする。
アイティンドは北米やCE認証に基づき欧州の一部地域で販売されている。オリンパスは今後、アイティンドを製品ポートフォリオに加えることで、多様化する前立腺疾患の低侵襲治療の普及に貢献していく。
オリンパスは経営戦略の1つに「治療機器事業への注力と拡大」を掲げ、消化器科と泌尿器科、呼吸器科の3 つを注力分野としている。この事業戦略に基づき、2018年11月からメディテイト社に出資を行ってきた。アイティンドの2年以上の販売経験を通じ、同製品の医学的価値とBPH治療における将来性が高いことを確信し、買収交渉を開始した。
BPHは高齢男性に多くみられ、下部尿路症状(LUTS)の原因として最も一般的な疾患となる。BPHの一般的な治療方法には投薬治療と外科的治療があり、オリンパスでは外科的治療の1つである経尿道的前立腺切除術(TURP)に用いるデバイス(レゼクトスコープ、切除用電極など)を開発・製造・販売している。