AIで生活習慣病を予防【帝京大学・大阪大学】
エビデンスに基づき保健指導に活用へ
帝京大学の古徳純一教授らの研究グループは、大阪大学キャンパスライフ健康支援センターの土岐博特任教授らとの共同研究で、大阪府民60万人規模の健康診断データから自動的にデータ内に潜む生活習慣病の因果関係を推定できる人工知能(AI)を開発した。
共同研究は医療ビッグデータ解析におけるAI技術応用の重要な研究で、生活習慣病などさまざまな疾患を予防するための保健指導などへのエビデンスに基づいた活用が期待されている。
開発では健康診断データから因果ダイアグラムを構築したことで、生活習慣病因子の間の因果関係が判明した。
例えば、善玉コレステロールの増加はBMIや中性脂肪、血糖値を改善する要因であることが顕著となった。BMIは血糖値や肝臓悪化の指標であるGPTに悪影響を持つことも明らかになり、さらに、中性脂肪や血糖値の悪化は肝臓の悪化に大きく影響することも明らかになった。
研究成果により、従来の勘や経験に頼っていた保健指導から、AIに基づいた解析により、保健指導による健康指標改善が具体性をもって『可視化』することが可能となる。
保健指導がエビデンスに支えられることで、指導を受ける側にも説得力をもって受け入れられやすくなる。