新年御挨拶【厚生労働省医薬・生活衛生局長 鎌田 光明】
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明けましておめでとうございます。
年頭にあたり、今年の医薬品・医療機器等行政を展望し、所感を申し述べます。
世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、治療薬、ワクチン及び医療機器への期待・役割がこれまで以上に注目されるなかで、医薬品・医療機器等行政が果たすべき責任も高まっています。企業からの承認申請がなされた場合は、国内外の治験データ等と最新の科学的知見を踏まえ、有効性・安全性等をしっかりと確認し、安全かつ有効な治療薬、ワクチン及び医療機器を安定的に供給できるよう尽力してまいります。また、昨年十二月に閣議決定された経済対策に基づき、新型コロナウイルス感染症対策の最前線で闘っている薬局・薬剤師への支援を引き続き実施いたします。
令和元年十二月、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第六十三号)」が公布されました。この制度改正は、急速な少子高齢化、科学技術の進歩、グローバル化等のメガトレンドに的確に対処し、優れた医薬品等をより安全・迅速・効率的に提供することを目的としています。
このうち、昨年九月には、「先駆的医薬品等審査指定制度」「条件付き早期承認制度」の法制化や、継続的な患者の服薬状況の把握・薬学的管理の実施の薬剤師への義務付け、医薬品等行政評価・監視委員会の設置などが施行されました。
今年八月には、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の認定制度が施行されます。在宅医療等における他の医療機関との連携・対応や、がん治療等の専門的な薬学的管理への対応など、薬剤師・薬局の本来の役割が発揮されることが期待されます。この他、医薬品等の添付文書の電子化、許可等業者に対する法令遵守体制の整備の義務付けなども施行されます。さらに来年の医薬品等の包装等へのバーコード等の導入に向けた準備も進めます。
これらの制度改正により、医薬品・医療機器等行政は大きく前進すると考えております。関係者・自治体の皆様に丁寧に説明を尽くし、引き続き、改正法の円滑な施行に向けて万全を尽くしてまいります。
この他にも、我が国の医薬品・医療機器等行政が直面する様々な課題に積極的に取り組んでまいります。
まず、革新的プログラム医療機器の承認審査体制の充実・強化です。昨今、疾患の治療を目的とした行動変容アプリなど、多様なプログラム医療機器が開発されています。昨年公表した「プログラム医療機器実用化促進パッケージ戦略」に基づき、革新的プログラム医療機器の実用化を促進・後押しするための取組を包括的に進めます。
次に、医薬品・医療機器等への迅速なアクセスを実現するためには、日本の医薬品等の高度な審査水準を各国と共有することが求められます。これにはPMDA(医薬品医療機器総合機構)の一層の体制強化が必要であり、PMDAとともに、国際的な医薬品・医療機器の規制調和をリードしていきます。
さらに、血液事業については、近年、献血血液を原料とする血漿分画製剤の需要が高まる一方で、献血可能人口や若年者の献血率が減少傾向にあります。将来にわたり安定的に血液製剤を確保すべく、日赤をはじめとする関係団体と連携し、若年層への普及啓発などの献血推進策に取り組んでまいります。
加えて、近年、若年層を中心に薬物の乱用が大きな問題となっております。特に大麻の若年層への浸透は看過できない問題であり、今後の大麻等の薬物対策のあり方を検討するとともに、取締りの強化や若年層への知識の普及に引き続き取り組んでまいります。
ウィズコロナ・ポストコロナの時代において、社会生活が大きく変化する中にあっても、安全で有効な医薬品、医療機器等の役割や、薬剤師・薬局が果たすべき機能は、国民の生命や健康を支える上で普遍的かつ不可欠なものです。医薬品・医療機器等行政の重責を常に胸に刻みつつ、関係者の皆様とも率直な意見交換等を行いながら、これからも、より良い医療、より良い国民生活の実現に向けて取り組んでまいります。
医薬品・医療機器等行政に対する一層の御理解と御協力をお願い申し上げますとともに、本年の皆様方のますますの御発展と御多幸をお祈りいたしまして、新年の御挨拶といたします。