AI・デジタルヘルスの進歩へ【医療機器センター】
AI・デジタルヘルス研究会で保険償還制度に提言
医療機器センター(理事長=菊地眞氏、東京都文京区)は、昨年11月に有識者13名で構成する「デジタルヘルスの進歩を見据えた医療技術の保険償還のあり方に関する研究会(AI・デジタルヘルス研究会)」(座長=谷修一・国際医療福祉大学名誉学長)を設置し、計5回にわたり検討を進めてきた。このほど、研究会はAI・デジタルヘルスの進歩を見据えた新たな保険償還制度のあり方に関する提言をまとめ、報告書として公表した。
AI・デジタルヘルス研究会は、デジタルへスの特性を踏まえ、その保険償還は『包括評価』で、『アウトカム評価を含める仕組み』にすることが必要であると提言している。
また、デジタルヘルスはデータ収集に対する親和性が高いことから、『一定期間、データを収集し、再評価を行う仕組み』の導入も必要であると提案している。
同時にデジタルヘルスの評価にあっては従来の知見に加え、さらに異なる分野の専門性や、専門家が必然的に求められることから、『新規の専門の組織を中央社会保険医療協議会(中医協)に設置』することを求めている。
さらに、医療保険で評価されているデジタルヘルスに関する医療技術と、そうでないものを明確に区別するためにも、『デジタルヘルスに即した報酬項目の新設』を要望している。
現在、日本ではデジタルヘルスに関する研究開発振興策が進み、医師法や薬機法などの取り扱いが明確化されつつある中、デジタルヘルスの保険償還への議論は未だ行われていない。
これを踏まえ、医療機器センターは多くの参入企業が求めている開発投資の出口論である保険償還に関する予見可能性を高め、企業側のさらなる研究開発意欲を高めるため、デジタルヘルスの進歩を見据えた新しい保険償還のあり方についての検討が必要と考え、AI・デジタルヘルス研究会を設置した。
現行制度ではデジタルヘルスの特性が加算等に上乗せ評価されるか否かは患者にとっての臨床的有効性・安全性が高まることが大きな判断基準となっている。
しかし、デジタルヘルスのユニークさは、医療従事者の負担軽減や、医療従事者間の技術の平準化、患者の利便性向上などにあり、医療従事者の負担軽減などのデジタルヘルスの特性を積極的に評価しないと、今後の日本に求められる医療・介護サービスの生産性の向上のせっかくの機会を逸することになる。
AI・デジタルヘルス研究会では、今回の検討結果(報告書)が関係各所による今後の検討の基礎となり、さらなる議論が進み、制度として具現化することを期待している。