業界団体

業界の未来を担う人財を育成【医機連】

「第2回みらプロ」では医療機器のヒヤリハットの再発防止などを課題に、業界と行政の若手がグループディスカッションを行った

業界と行政の若手が共に勉強

医療機器関連の21団体で組織する日本医療機器産業連合会(会長=松本謙一氏、医機連)は、医療機器業界のさらなる発展をめざし、行政とともに医療機器関連の政策に関する議論の場を設けるとともに、業界の若手人財の育成を目的に「医療機器のみらいを担う人財育成プロジェクト」(みらプロ)を立ち上げ、活動を開始した。医機連では「第2回みらプロ」を9月19日㈯に東京・新宿区のTKP市ヶ谷カンファレンスセンターで開催した。また、当日の開会前には「記者会見」を開き、『みらプロ』の活動内容などについて発表した。

官民一体でグループディスカッション

記者会見を行う松本会長(右から2番目)、長尾副病院長(同3番目)ら

記者会見には松本会長や、『第2回みらプロ』で講師を務める名古屋大学医学部附属病院の長尾能雅副病院長らが出席した。

会見で松本会長は「昨年来、内閣官房参与を拝命しまして、行政との意見交換会で医機連として、医療機器の安定供給と人財育成の2つを強調してきた。医機連で人財育成を現実的にどうするか、議論を重ね具体的にいろいろな提案を出し、その1つが今回の『みらプロ』である。また、名称の人財の『ざい』の字も財産の『財』の字を使用している」と今後の業界発展に人財育成が欠かせないことを強調した。

『みらプロ』の特徴にふれては「官民一体の人財育成プロジェクトで、行政側から20名、業界側から29名が参加し、2年を1期として、2か月に1回の頻度で開催する。Web会議方式ではなく、リアルに顔を合わせ、有識者の講演・課題提示後、グループディスカッションを行いながら勉強していく」と官民の若手が集い、互いに切磋琢磨していく意義深いプロジェクトであることを説明した。

ヒヤリハットの再発防止へ議論

また、長尾副病院長は「医療機器の真のユーザーは患者、国民である。その中間的役割として医療現場がある。われわれのミッションは医療機器などを安全に供給することだが、残念ながら医療現場では医療機器に関わる事故、ヒヤリハット、インシデントが発生している。医療現場でのインシデントの45~50%は医療機器に関係している」と医療現場での医療機器に関する問題を提起した。

これを踏まえ「本日の『みらプロ』の講演では、現在の医療現場で実際に起きた事故事例などをお伝えし、それがなぜ起こり、どのように再発防止に苦しんでいるかを、参加者の皆さんと一緒に考えていきたい。行政とメーカー、医療現場のそれぞれに事情があると思うが、安全使用が一律にできるような仕組み作りを三位一体で取り組む必要がある。今日はそのあたりを、未来を担う方々と話し合いたいと思い準備をしてきた」と医療機器の安全使用に向けた新たな取り組みに期待を込めた。

医療機器のみらいを担う人財育成プロジェクト(みらプロ)の概要

●プロジェクトの目的=①医療機器産業・業界の活性化と未来を託す人財の開発②医療機器産業の未来を見据えた政策提言力の向上③業界、行政、医療関係者との人財ネットワークの構築。
●開催方法=2年間を1期としてプログラムを設定し、多方面の検討・議論ができるようにワークショップ形式にし、参加者の感じたこと、考えを共有しながら議論を進める。期ごとに参加者を募集する。
●開催頻度=第1期は2020年7月からスタート。隔月に開催し、1回3時間程度行う。
●各回の構成イメージ=有識者の講演・検討課題の提示→質疑応答→グループディスカッション→発表→成果物の提出。
●参加者=行政側20名(厚労省10名、PMDA9名、経産省1名)、業界側29名(医機連団体会員の医療機器関連企業に勤務し、自身の担当分野に精通していること。団体のニーズを把握し議論でき、今後の医療機器企業をリードしていく30~40代の人)
●議論の対象範囲=医療機器を取り巻く課題全般(市販前、市販後、海外規制を含む)に関し、各回のテーマごとに議論し、第1期の最終成果物としては医療機器に関する規制のあるべき姿を提案する。
●今後の開催テーマ=『医療機器を支える革新的技術』、『医療財政の現状と今後、並びに保険制度』、『医療機器産業における課題のまとめ~医療機器の流通について~これまでの振り返り』など。