医工連携

5G遠隔手術支援実験を開始【東京女子医大とNTT】

高精細手術映像など大容量データの双方向通信を検証

スマート手術室での脳外科手術(イメージ)

東京女子医科大学とNTTドコモは、商用第5世代通信方式(5G)とスマート治療室「SCOT」を活用した国内初の遠隔手術支援実験を10月から来年3月まで実施する。5Gを活用して、スマート治療室と遠隔地の専門医を接続し、高精度な手術映像など大容量データの双方向通信を検証する。

実験ではIoT技術で各種医療機器・設備の情報を統合する東京女子医大にあるスマート治療室と、専門医がいる戦略デスクを、5Gとドコモのクラウドサービス(ドコモオープンイノベーションクラウド)で接続する。

スマート治療室内で脳外科手術を行う執刀医の手元映像や、4K外視鏡の高精度映像などの大容量データを、戦略デスクへリアルタイムに送り、遠隔の専門医が手術の状況を俯瞰的に確認し、手術時の指導や支援を行う。

また、移動型スマート治療室「モバイルSCOT」と、戦略デスクを5Gで接続し、車載医療機器の高精度リアルタイム画像伝送実証も行う。

これらの実験を通して、緊急の脳外科手術などで熟練医が不在の時や、感染症などで入室可能な医療スタッフが限定された状況でも遠隔からの手術支援の可能性を検証する。

社会的問題となっている高度医療従事者不足にともなう医師の負担増大や、地域医療における医師偏在などの課題解決をめざしていく。

なお、東京女子医大とNTTドコモは昨年11月にスマート治療室で5Gをかいした遠隔手術支援に関する共同実証実験を行う覚書を締結。この覚書の取り組みの一環として、日本医療研究開発機構(AMED)からの採択案件である「8K等高精度映像データ利活用研究事業」の枠組みのもと実証実験が行われる。