心臓カテーテル治療で臨床試験【テルモ】
新たな手技の有用性を検証へ
テルモ(社長=佐藤慎次郎氏、東京都渋谷区)は、心臓カテーテル治療の新たな手技の有用性を検証する臨床試験「DIStal vs COnventional RADIAL access trial(DISCO RADIAL)」を開始した。欧州で1人目の症例登録が完了した。
臨床試験では患者の手首にある橈骨(とうこつ)動脈からカテーテルを挿入する手技(TRIまたはTRA)と、手の甲側の親指の付け根付近の血管から穿刺してカテーテルを挿入する手技の2群に分け、治療後の合併症発生率を比較する。
今後、欧州と日本にある13施設の患者1300人を登録し、2021年の解析結果の発表をめざす。
カテーテル治療には手首からのTRI以外に、太ももや上腕を穿刺してカテーテルを挿入する方法もあり、術後管理の簡便さや止血時間の短さなどから、有効な手技として確立されている。
また、近年に開発された手技dTRAは、手首よりもさらに心臓から遠い場所を穿刺して橈骨動脈へカテーテルを進める。TRIの課題であった術後に橈骨動脈が閉塞する頻度の減少が期待されており、今回の臨床試験の主要評価項目となっている。
さらに、従来に比べより末梢の血管であるため、止血処置時間の短縮や患者の負担軽減なども可能となる。一方で、近年に普及し始めた手技であるため、有用性を実証するデータは少なく、大規模な臨床試験はDISCO RADIALが世界初となる。
臨床試験責任医師の1人である湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)の齋藤滋総長は「dTRAは最新の手技で、その有効性を証明するのは私たちの責務と思っている。治療の確立、ひいては患者のQOL向上に努めたい」とコメントしている。