8K技術を腹腔鏡手術に
遠隔手術支援システムの実用化へ
国立がん研究センター(理事長=中釜斉氏)とNHKエンジニアリングシステム(理事長=山本真氏)、オリンパス(社長=竹内康雄氏)は、日本医療研究開発機構(AMED)の「8K等高精細映像データ利活用研究事業」の支援を受け、8Kスーパーハイビジョン技術を用いた新しい腹腔鏡手術システムの開発と、それを応用した遠隔手術支援システムに関する研究を開始する。
これまで、3者は平成28年度から30年度にかけて、8K等高精細映像データ利活用研究事業で8K内視鏡システムの試作機を開発し、実用化に向け取り組んできた。
この研究を発展させ、より操作性を向上した8K内視鏡手術システムを開発することで、内視鏡手術の適応範囲の拡大や重症度への対応が期待できる。
今後、3者によるプロジェクトチームは8K技術を用いた新しい腹腔鏡手術システムの開発と実用化・普及をめざし開発課題に取り組んでいく。
開発課題は、①8K内視鏡システムの一層の小型軽量化、操作性の向上を目標に試作機の開発②8K内視鏡システムにより得られた高精細な手術映像データなどを、手術を行う医師と遠隔地で指導する医師との間でスムーズに送受信し、得られた情報から術中の重要点の提示などを可能にする遠隔手術支援システムの開発③遠隔手術支援システムの医療上の有用性などについて検証し、医療機器としての実用化、普及に向けた具体的計画の策定④8K内視鏡手術映像データベースを構築し、診断などへの利活用に向けた具体的方策の検討・検証を通じて、医療の質向上などに向けた計画の策定--の4点。今後、課題の解決に向けた取り組みを行っていく。
近年、内視鏡による手術のニーズが高い反面、同手術はモニター画面を見ながら行うため、手術の質が画面の解像度に影響されやすく、さらに2次元で空間認識が難しく、術中展開や術中操作の制限があるため、技術革新が求められている。
8K技術はより高解像度、高色域などが実現可能なので、内視鏡システムに8K技術を採り入れることによって、さらなるメリットを医療現場にもたらす可能性がある。