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産業ビジョン2025の実現へ【JIRA】

新延会長が「年頭所感発表会」開く

日本画像医療システム工業会(会長=新延晶雄氏、JIRA)は、1月8日㈬午後5時から、東京・大手町のKKRホテル東京で「JIRA会長年頭所感発表会」を開催した。新延会長は昨年策定した『JIRA産業ビジョン2025』の実現に向けた重点4事項の取り組みについて発表した。

重点4事項を掲げ各種活動を推進へ

新延会長

発表会で新延会長は2020年のJIRAの重点4事項として、①「医薬品医療機器等法(薬機法)」の改正②医療法施行規則の改正による診療用放射線の適正管理③2020年度診療報酬改定④医療機器規則の国際整合--を挙げ、各項目への対応や事業内容を説明した。

薬機法の改正に対応

①の「医薬品医療機器等法(薬機法)」の改正では、「薬機法の一部を改正する法律」が2019年12月に公布され、1年後の施行となったことを踏まえ、JIRAとして改正施行に向けた各種活動を実施する。

具体的には『改良が見込まれる医療機器について継続した改良を可能とする承認審査制度の導入』に対応し、IT技術を用いた画像診断機器の特性を踏まえ、活用できる制度になるように働きかけを行っていく。

『市販後に恒常的な性能等が変化する医療機器(人工知能)』に関しては、市販後学習の扱いを含め、市場に提供できる制度作りを、他国の動向も考慮して検討していく。

『安全対策を目的としたUDIの導入』では、JIRA会員企業製品である大型機器、設置管理医療機器、プログラム医療機器などの製品特性を勘案した適切な内容を盛り込む活動を推進していく。

また、薬機法改正以外でも、19年7月の厚生労働省との定期意見交換会でJIRAが提言した、認証を得た品目に対し新たな技術や機能の追加を大臣承認で可能となる運用をめざし『認証外れ品目の承認の早期運用』に取り組んでいく。

医療法改正で診療放射線を適正管理

②の医療法施行規則の改正による診療用放射線の適正管理では、既に「漏洩X線線量測定士の認定講習会」を実施しているほか、4月に開催する「2020国際医用画像総合展」で、前回に引き続き「診療用放射線の適正管理」をテーマに、技術・製品の展示、プレゼンテーションを企画している。

③の20年度診療報酬改定は、基本方針で「医療従事者の負担軽減、医師等の働き方改革の推進」などが重点課題として挙げられ、ICTの利活用が示されている。

これに対してJIRAでは厚生労働省への働きかけとして、▽医療機器、医療技術イノベーション評価▽安全確保の推進▽ICTの利活用--などについて提言を重ねてきたほか、学会と連携し医療技術評価に関する提案を行っている。

④の医療機器規則の国際整合に関しては、従来からJIRAはDITTA(国際画像診断治療機器業界会議)の創設メンバーとして、IMDRF(医療機器規制国際整合化フォーラム)の放射線画像診断装置が関連するワーキンググループの委員や、フォーラムのステークホルダーとして参画しており、医療機器規制の国際整合化に協力している。

その結果、19年にJIRAが提案した「医療機器規制に用いる国際規格の品質改善」の成果文書が発行され、今後の医療機器規制に用いる国際規格の品質が改善されることが期待されている。

今後はIMDRFの成果がAPECの規制整合運営会議や、諸外国との二国間医療機器規制協議に積極的に取り入れられるように注力していく。

AI用いた製品を早期に社会実装へ

そのほか、新延会長はJIRAが19年をAI診断支援元年、20年をAIを用いた製品やサービスを医療現場に提供する社会実装の第一歩と位置付け、関連活動を展開していることに言及し、「AIを利用した医療機器の発展には、医療情報の取り扱いの問題や、市販後に学習して成長するAI技術など、議論が必要な課題が多くあるが、AIが早急に医療現場で貢献できるよう、産学官でルール作りや研究成果を社会実装するため医工連携を強化していきたい」と表明した。