「第67回全国大会」開催【日本理化学硝子機器工業会】
理化学硝子機器業界のさらなる発展へ
全国の理化学硝子機器専門メーカーで組織する日本理化学硝子機器工業会(会長=橋本秀秋氏、東京都墨田区、NRGK)は、10月20日㈰・21日㈪の両日、栃木県・鬼怒川温泉のきぬ川ホテル三日月で、会員ら72人が参加して「第67回全国大会」を開催した。
米国ASGS報告会や展示会を実施
全国大会は毎年、同工業会の6支部が輪番制で運営を担当して行っており、今年は東京支部の担当となった。大会は初日の20日に「通常総会」や「ASGS2019・コーニング報告会」、「硝子加工道具、硝子製品展示会」が行われ、翌21日に「HARIO古河工場見学会」が実施された。参加者らは2日間を通して硝子に関する見識を広めた。
「通常総会」は21日午後1時30分から開催され、竹内信夫理事の司会で進行した。冒頭、あいさつに立った橋本会長は「67回全国大会に多くの方にご参加いただき誠にありがとうございます。今大会が鬼怒川温泉での開催となったのは、HARIO古河工場を見学させていただくことになり、この地での開催の運びとなりました。しかし、台風19号の影響で膨大な被害を受け東武線の一部区間が運転見合わせとなり、急きょバスでの移動に変更させていただいた。皆さまにはご不便をおかけして申し訳ございませんでした」と述べ、被災地の1日も早い復興を願った。
先ごろ、ノーベル化学賞を旭化成名誉フェローの吉野彰氏が受賞したことにふれては「吉野氏は京都大学工学部で最も古い石油科学科の出身で、研究では多くの硝子機器を使用してきたそうです。当工業会の会員が製作した硝子機器が大いに役立ったことと思います」と思いを馳せた。
東京支部が前回担当した第61回全国大会を回顧しては「61回大会は平成26年6月、東京・錦糸町の東武ホテルレバント東京で開催しました。大会前日には硝子加工講習会を行い、大会終了後に報告会を開き、その様子を発表。翌日の見学会は東京スカイツリーやお台場の日本科学未来館で開催しました」と振り返った。
今回の全国大会に言及しては「今回の67回全国大会では米国ASGS2019・コーニング報告会と、展示会を充実させ、賛助会員企業や各支部から展示品を募ったほか、米国WaleApparatus社のデニス社長夫妻に来日していただき、硝子加工に役立つ道具の展示販売も実施する。展示会を見学する時間も取りましたので十分にご覧いただけます。年1回の全国大会ですので、多くの方と情報交換ができることを期待しております。2日間よろしくお願い申しあげます」と今大会の特徴を説明し、あいさつとした。
次いで、来賓を代表して東京科学機器協会(理事長=矢澤英人氏)の岡田康弘事務局長が祝辞(矢澤理事長の祝辞代読)に立ち「理化学硝子は科学機器の歴史において最初期に国産化に成功し、わが国の科学技術発展の礎を築いたと存じます。歴史ある日本理化学硝子機器工業会の皆さまは、全国大会を67回もの永きに渡り重ねてこられ、その団結力と精力的活動に敬服いたします」と同工業会の一層の発展を祈念した。
また、賛助会員企業を代表しては、AGCテクノグラスの山路眞二事業企画部長が「67回と一言でいいましても1回1回の積み重ねが大事で、これは皆さま方の匠の技能・技術と、あくなき改善への努力によるものと感銘いたします」と祝辞を述べた。
次期全国大会は大阪へ
来年6月28・ 29日 ホテル阪神で
このあと、「通常総会」では中村剛専務理事が司会を務め、池田高樹理事が「会員総数81名中、出席36名、委任状による出席25名、合計出席者数61名」と総会成立を宣言し、橋本会長が議長になり、議案の審議に入った。
議案審議では平成30年度事業・決算・監査報告、令和元年度事業計画・予算、役員の件、その他必要事項--などを審議し、原案どおり承認、可決した。
このうち、令和元年度事業計画の審議では第68回全国大会は大阪支部が担当となり、2020年6月28日㈰・29日㈪の2日間、ホテル阪神で開催することを決定した。
また、その他必要事項では、大会前に開かれた臨時理事会で審議された案件として、再来年の第69回全国大会は名古屋支部が担当することが決定しているが、名古屋支部は会員数が減少し、現在、会員数が1社となり、1社だけで全国大会を準備から運営まで行うのは現実的に厳しいため、第69回全国大会を名古屋支部が担当することは保留とした--ことが発表された。
これに関しては、名古屋支部が担当できない場合は、輪番制で次の仙台支部が担当となるが、仙台支部も会員数が現在、1社だけなので、難しいのではないか、その場合はその次の九州支部が担当となる。しかし、工業会を構成する6支部のうち2支部が全国大会を担当できないとなると、残りの4支部で担当していくことになり、4年に1回、担当が回ってくるのも負担が大きいのではないか--などの意見が臨時理事会で出たため、今後開かれる理事会で議論して方向性を決めることになった。
通常総会終了後は明日のHARIO古河工場見学の説明会と、ASGS2019・コーニング報告会が行われた。ASGS2019報告会では参加したメンバーらが現地で硝子加工を披露した様子を動画で紹介。日米の硝子加工法のそれぞれの特徴を説明した。
東京から大阪へ大会旗申し送り
最後に、東京支部から大阪支部に大会旗の申し送り、参加者全員で記念撮影を行い、閉会となった。
このあと、懇親会までの間、展示会の見学時間となり、参加者らは賛助会員企業や各支部の硝子製品を見ながら担当者から説明を受けたほか、米WaleApparatus社のグラスブロワー向けの各種素材やバーナー、硝子加工具、耐熱テープ製品などを実際に手に取り、気に入った商品があれば購入していた。また、総会も終了したことから展示会場ではアルコールも提供され、参加者らは缶ビールを片手に、会場に設置されたスクリーンに映し出される工業会会員らによる硝子加工の様子を見ながら、硝子加工談義に花を咲かせた。
夕刻からは懇親会が催され、賛助会員の関谷理化・関谷幸樹社長の〝乾杯〟の発声で開宴となった。会場では全国から集まった参加者らがグラスを傾けながら情報交換と親ぼくを深め合った。
翌21日はバス移動でHARIO古河工場を訪れ見学。帰路の途中で昼食を取り、午後4時に東京・JR神田駅で散会となった。
【日本理化学硝子機器工業会について】
理化学硝子機器を製造する専門メーカーのわが国ただ1つの全国組織団体。本部を東京に置き、支部構成は東京、大阪、京都、名古屋、仙台、中国九州--の6支部からなる。