アフリカの医療向上に貢献【アークレイ】
「簡易型血液検査装置」発売へ
アークレイ(社長=松田猛氏、京都市上京区)は、アフリカ諸国の中でもサブサハラ地域(サハラ砂漠以南の地域)の医療現場向けに開発した簡易型血液分析装置「ザラボ004」を10月から同地域での販売を開始する。
ザラボ004は慢性肝臓病(CKD)や肝臓病の検査に特化した小型の簡易型血液分析装置で、腎機能・肝機能のスクリーニング検査に使用する。
測定時、反応に必要なすべての試薬がフィルムや濾(ろ)紙に含まれていて、血液などの検体以外の液体を必要とせず、検体に含まれる水分だけで反応が完結する『ドライケミストリー技術』の採用により、給排水設備が整っていない環境下でも使用できる。
また、付属のACアダプタに加え、モバイルバッテリーでも駆動可能なため、電力供給が不安定な地域でも測定ができ、医療が行き届かない地域での慢性肝臓病や肝臓病の早期発見・早期治療に貢献する。
サブサハラ地域では糖尿病由来の合併症のひとつである慢性肝臓病患者が増加している。また、HIV感染者も多い同地域では抗HIV薬の長期間服用による副作用で慢性肝臓病や肝臓病を発症する患者も多い。
慢性肝臓病が進むと透析治療や腎臓移植などが必要となるが、対応できる高度医療設備が整った地域はごく一部で、治療の継続には高額な医療費がかかる。このような現状を踏まえ、重症化する前に患者の健康状態を定期的に検査して、早期治療を行うことが課題になっている。