松本理事長の続投決定【日医工】
「2019年度定時社員総会」開く
日本医療機器工業会(理事長=松本謙一氏、日医工)は、8月28日㈬午後3時から、東京・飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで「2019年度定時社員総会」を開催した。総会では任期満了にともなう役員改選を行い、松本理事長、武井和之、増田順両副理事長が再選したほか、植竹強、青木眞両副理事長が理事に退き、石塚悟、林正晃両理事が副理事長に就任した。
総会の冒頭、あいさつした松本理事長は日医工の歴史にふれ「昭和40年代中ごろ、日本医科器械学会(当時)の理事会の席上、(医師系の)理事から、そろそろ医療機器産業も学会から離れ、『産学』という形でやったほうが良いのではないか、との意見が出された。これを契機に、準備を進め日医工が発足した。今でこそ医療機器業界では医工連携が盛んに行われているが、日医工の発足の切っ掛けは産学連携にあった」と回顧した。
自身が会長に再就任した業界上部団体の日本医療機器産業連合会(医機連)の産業ビジョン『ソサエティ5・0を支える医療機器産業をめざして』に言及しては「ソサエティ1・0は狩猟社会、同2・0は農耕社会、同3・0は工業社会、同4・0は情報社会、しからば同5・0とは高度な先進技術であらゆる課題を解決する超スマート社会で、そのよう意味では5Gひとつとっても、遠隔医療や遠隔診断、遠隔治療がますます盛んになってくる。今日から横浜で安倍総理主催のアフリカ会議が行われているが、それこそアフリカあたりは、まさに遠隔医療の時代に突入していくだろう」と述べた。
革新的な製品開発を
グローバル市場開拓も必要
医療機器の市場動向にふれては「医療機器の市場規模は医療費の6・3%と言われている。米国も同じようなもの。調査会社の調べで、2030年の各国の医療機器の市場規模は米国が30兆円でトップ。2位は中国で20兆円、日本は6番目に登場する。日本は縮小する訳ではないが、伸びる訳でもない。今後、日本が伸びていくにはイノベイティブな製品開発や、グローバル市場開拓が必要だろう。また、地産地消で、その国で売る製品はその国で製造することも考えるべきだろう。マクロな目線で見て考えていくことが大切になる。そして、持続可能な開発目標(SDGs)を立てていくことも重要になる。いずれにしても大変な時代ですので、皆さま方と手を組んで頑張っていきたい」と呼びかけた。
このあと、松本理事長が議長となり、司会の穴田事務局長が「総会員数135名中、出席50名、委任状提出41名」と総会の成立を宣言。議事録署名人に副理事長の植竹、武井、増田、青木-の4氏を指名し議案の審議に入った。
1・2号議案は2018年度の事業報告と決算報告を武井副理事長が、監査報告を糸永薫監事が、それぞれ行い、承認された。
3号議案では松原一郎理事が説明に立ち、定款の一部を改正し、会長職を新たに設けることを説明し、承認された。今後、会長は主に行政や関連団体などの対外的活動を行い、理事会では理事長への助言を行う。会長が選任されていない時は理事長がその職務を兼務することになる。
4号議案の任期満了にともなう役員改選は根本達役員選考委員長が19・20年度理事候補26名、監事候補2名を発表。出席会員の了承後、新役員らは別室で第1回理事会を開き、松本理事長、武井、増田両副理事長の続投と、石塚、林両理事の副理事長への就任を決定し、新役員体制(下記参照)を発足させた。
次いで、5・6号議案の19年度事業計画・予算は増田副理事長が説明し、原案通り、承認された。
なお、19年度事業計画は重点5項目(日医工ビジョン=下記参照)を基本姿勢に、組織内16委員会で各種活動を展開していく。
日本医療機器工業会「2019・2020年度役員」
◉理 事 長 松本 謙一(サクラグローバルホールディング) ◉副理事長 石塚 悟(サクラファインテックジャパン) 武井 和之(武井医科光器製作所) 増田 順(セントラルユニ) 林 正晃(第一医科) ◉理 事 青木 眞(泉工医科工業) 浅野 薫(シスメックス) 伊垣 敬二(京都医療設計) 井上 政昭(スカイネット) 植竹 強(ケイセイエンジニアリング) 植竹 茂(ケイセイ医科工業) 久保 裕司(ジョンソン・エンド・ジョンソン) 坂本 郁夫(パラマウントベッド) 髙橋 治(PHC) 根本 裕司(ミズホ) 原田 貴之(日本不整脈デバイス工業会) 平尾 泰朗(永島医科器械) 福田 修一(フクダ電子) 藤原 武志(ビー・ブラウンエースクラップ) 松原 一郎(アトムメディカル) 丸野 正(浜松ホトニクス) 村中 重夫(村中医療器) 矢野 守(海外医療機器技術協力会) 山﨑 和明(山田医療照明) 山崎 盛夫(アムコ) 横山 秀樹(アイ・エム・アイ) ◉監 事 糸永 薫(ユフ精器) 髙村 清(東京医科電機製作所)
2019年度重点項目
「日医工ビジョン」基本姿勢(長期的展望)
【1 医療機器の法制度、産業振興における行政への積極的な発言・提案】
●薬機法改正に焦点を当てた講習会を企画・開催し、会員企業への周知を行う。
●改正QMS省令の解説と内部監査員のアップデートを目的にセミナーを企画・開催し、会員個々のスキルアップを図る。
●2020年度診療報酬改定に対する要望事項の実現をめざし、行政への提言を行う。
●UDIの世界情勢の情報収集と日本でのUDIの方向性について業界内の意見を取りまとめ、行政への積極的な発言を行う。
【2 常に進化し、改良改善を重ねる医療機器の安心・安全の確保】
●患者安全の確保を図るべく「安全セミナー」などを開催し、医療従事者に対する医療機器の適正使用の啓発に取り組む。
●医療機関に対し、医療機器の保守点検業務の重要性についての啓発活動を行う。
●会員企業にPMDAホームページへの添付文書掲載を推進する。
●JIS T 0601-1-2:2018(移行期間5年)の会員企業への周知、継続的なアンケート実施による、技術的な教育サポート手段の検討を行う。
●IEC/TC66国内委員会の協力を得て、滅菌器・洗浄消毒器の委員会を設置し、機器仕様の要求事項や性能検証法などを検討し安全性を確保する。
【3 これまでにない製品の開発、マーケット拡大のための医療機器開発事業化をサポート】
●中小企業が保有する「ものづくりの技術」を医療産業に活用するため展示会などの機会を設け産業振興の支援に取り組む。
●国内の医療機器の開発や製品化を速やかに行うためのサポート、技術提携やイベントを通して異業種企業との交流を行う。
【4 日本の医療機器を普及させるための海外展開の促進】
●医療機器・介護機器の海外展開について、会員企業に情報提供、相談業務を行い、海外市場への参入を支援する。
●海外医療機器技術協力会(OMETA)と協調、連携を深めながら、海外医療関連情報の収集および会員企業の国際展開を支援する。
●ISO/TC121の国際会議への参加と国際規格の審議に日本の意見を反映する。
●国際協力機構(JICA)の民間企業提案型事業の制度の活用を行っていく。
【5 高い企業倫理に基づく公正な事業活動の推進】
●企業倫理、コンプライアンス、公正取引などに関する勉強会を開催し、会員企業への啓発に努める。
●透明性ガイドラインの情報公開および未公開企業に対する情報公開への周知活動を行う。