企業活動

動物医療事業を強化へ【富士フイルム】

グループ間で統合し新会社設立

富士フイルム(社長=助野健児氏)は、動物医療事業を強化する。グループ会社で動物検体受託検査会社の富士フイルムモノリスと、富士フイルムメディカルの動物医療事業部門を統合し、動物医療現場で必要とされる医療機器・サービスを提供する「富士フイルムVET(ベット)システムズ株式会社」(本社=東京都調布市、FFVS)を設立した。

富士フイルムモノリスは動物検体受託検査会社として、国内10か所に受託検査所を配置し、全国の動物医療施設から直接検体を集荷し、迅速に検査結果を報告することで、動物医療に貢献してきた。

一方、富士フイルムメディカルの動物医療事業部門は、富士フイルムが開発・製造する動物医療向けのX線・超音波画像診断装置、臨床化学分析装置、検査データ処理支援システムなどを国内で販売してきた。

今回、設立するFFVS社は、これら2社の機能を集約し、拡大する動物医療市場にさまざまな製品・サービスを提供していく。今秋からは動物医療施設内で得られた検査データ・画像情報と、FFVS社で受託した検体検査の結果を統合管理する新サービス「フジフイルムベテリンクネットワーク」(FVN)の提供を開始する。

新サービスのFVNでは、FFVS社で受託した検体検査の結果をオンラインで自動的に格納。動物医療施設内ではこれら検査結果の入力作業を省略でき、検査業務の効率化が図れる。獣医師はFVNに管理された全ての検査データ・情報を時系列で確認できるため、診断効率を向上する。

また、FVNで管理しているX線診断画像を、経験豊富な動物画像診断医に読影依頼できる「読影支援サービス」も同時に開始する。質の高い読影結果を提供するとともに、動物医療施設の医師の診断効率化に貢献する。

さらに、今後、FVNで管理する検査・診断情報を動物医療施設がペットオーナーと共有し、ペットの過去からの検査履歴を自宅で閲覧できる機能を開発することも検討する。

近年、日本ではペットの高齢化が進み、ペットがかかる病気はがん、心臓病、腎臓病、糖尿病--など、多様化している。予防の観点から、血液検査やX線撮影などによる健康診断ニーズが高まっていて、検査需要が拡大している一方、診断業務の効率化が求められている。