「第94回日本医療機器学会大会」開催【日本医療機器学会】
未来の医療機器を見据え討議
日本医療機器学会(理事長=矢冨裕氏、東京都文京区)は、6月13日㈭から15日㈯の3日間を会期に、大阪・中之島の大阪国際会議場で「第94回日本医療機器学会大会」(大会長=臼杵尚志・香川大学医学部附属病院手術部部長)を開催した。今大会は『Beyond Future』をテーマに行われ、期間中には全国から学会員ら約1900人が参加し、各演者の話に耳を傾けた。また、大会併設の医療機器展示会「メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2019」には3日間で約1100人が来場し、にぎわいをみせた。
大会1日目の6月13日はマネジメントセミナーとして、『保守・保護』、『大規模災害時の医療のBCP(Business Continuity Plan)』、『人材育成と働き方改革』の3題が開かれ、同学会が認定している滅菌技師・士、MDIC(医療機器情報コミュニケータ)、臨床ME専門認定士らが、メモなどをとりながら熱心に勉強していた。
2日目の6月14日に学術大会は本格的にスタート。開会にあたり、あいさつした臼杵大会長は今回の学会テーマ(Beyond Future)に言及し、「未来のその向こうとはいったい何だろう、ということで、未来志向で企画いたしました。プログラム委員の先生方のおかげでシンポジウムやパネルディスカッション、教育講演など多彩なプログラムを組むことができた」と述べ、大会に関わった関係各位に感謝の意を表し、『開会の辞』とした。
このあと、第94回大会は2日間にわたり、大阪国際会議場の5会場を使い、シンポジウム5題やパネルディスカッション5題、教育講演5題、大会長講演、大会特別企画、ランチョンセミナー3題、一般演題106題--などの数多くのプログラムが展開された。
今回の大会では再製造単回使用医療機器(R―SUD)や医療機器安全管理、院内電波管理、医療機器トレーサビリティ、貸出し手術器械、滅菌供給業務、医療機器添付文書、大規模災害対策--など医療機器関連の最新課題をテーマに、それぞれの分野の第一人者が演者として登壇。各テーマの現状や問題、方向性について講演したあと、聴講者らと討論を繰り広げた。
特に注目を集めたのが再製造単回使用医療機器(R-SUD)に関するシンポジウムで、朝9時からの開催にも関わらず、多くの聴講者で会場は埋まった。R-SUDの事業の進捗や医療機関での対応状況について、シンポジストのR-SUD事業者や医療機関の関係者が発表し、参加者間でディスカッションを行った。
「メディカルショー2019」
テーマ展示やセミナーも好評
一方、大会併設の医療機器展示会「メディカルショージャパン&ビジネスエキスポ2019」は、大阪国際会議場の3階イベントホールで開催され、連日にわたり、多くの来場者が訪れた。
オープニングセレモニーは6月13日午後12時50分から、会場入口前で行われた。あいさつした臼杵大会長は「メディカルショーに多くの企業が出展いただきまして、誠にありがとうご
ざいます。大阪のこの会場は、横浜の会場と比べると少し狭いですが、ぎゅっと詰まったいい感じの展示会になったと思う。会場内をじっくり見ていただければ幸いです」述べた。
今後のメディカルショーの方向性にふれては「2年ほど前、この大阪で学生時代の先輩のお会いした時に、先輩は病院建設関係の方で、メディカルショーが開催されることを伝えると、ぜひ行きたいと言っておられた。今後、メディカルショーの告知に関しては、医療機器関係以外の方々にもアピールしていくことも必要だろう」と示唆した。
このあと、臼杵大会長と矢冨理事長、根本裕司事業体部会長の3人がテープカットを行い、メディカルショーは開幕した。
会場には医療機器企業49社、4団体、2地方自治体--が出展。各ブースでは最新鋭の治療機器や診断機器、洗浄・滅菌装置、手術機器--などの実演が繰り広げられ、熱気を帯びた。
テーマ展示として、『UDI(Unique Device Identification)特別展示』では、日本におけるUDIの現状と今後の課題について、パネル展示と機器展示
で紹介され、来場者らが興味深く見学していた。また、『ロボットスーツHAL展示』では、身体機能を改善・補助・拡張・再生する世界初のサイボーグ型ロボットが展示され、来場者らはロボットスーツの実用性を体感した。
期間中には展示会場内で公開セミナーも開かれ、「UDIの現状と今後の展望」と「大阪発医師×へルスケアイノベーション」、「医療機器業公正競争規約」の3題のセミナーが行われ、来場者らが熱心に聴講した。
そのほか、日本医療機器工業会主催の『医療用機能・要素部品パビリオン』や、大阪医療機器協会主催の『医療機器マッチングコーナー』には、医療機器
産業への参入をめざす、ものづくり企業が出展し、医療機器に活用可能な技術力や要素部品を来場者にアピールした。
さらに、日本医科器械資料保存協会によるパネル展示では、印旛医科器械歴史資料館に保管されている歴史的に貴重な医科器械がパネルで紹介され、来場者
は足を止め見入っていた。